61/195
プロローグ:欠伸の話
私は学校の机でぐでぇーっとしていた。
せっかく通い始めた高等学校なのにやってることは受験前に詰め込まされたことばかりだ。他のことをやってたら叱責が飛んでくるし、けだるくて仕方ない。
先生の口がラリホーを唱えてるようにしか聞こえなくなってくる。
「ふ……」
ヤバい。あくびを噛み殺すのが限界に近い。私。ガンバレ。
「ふぁーあ」
無理だった。口を抑えて外に漏れないようにしてみたけど絶対先生気づいてる。
「余裕だな、愛川。俺の授業はそんなに退屈か?」
「いえ、そんなこと、……あるかもです」
あちこちからクスクスと押し殺した笑い声が漏れる。先生も笑っている。
「じゃあとりあえずこの問題を解いたら寝てていいぞ」
「あ、やった」
三秒くらい考えて私は「……先生、どうして高校の授業でフェルマーの最終定理が出てくるんですか」と言った。
「解けないんだな。じゃあ授業聞いてろ」
先生は提起から証明までに三百年かかった数式を黒板から消した。




