エピローグ:とある日の鮫口冷袋
「ふぁーあ」
ベッドから起き上がってあたしは大きく欠伸をする。
あぁ、片付けるの忘れてたや。
いまあたしの隣には鮫の歯形みたいな大きな裂け目のある男が死んでいる。ていうかあたしもよくこんなところで寝てたよなぁ…… 凍りついていた血がことごとく解凍されて匂いがスゴいことになってるのに。んー、変なモノを使えば名が売れるかもと思って液体窒素で殺しをやって、現実その通りになってるけどそろそろこんな面倒で取り扱いに困る凶器はダルくなってきた。
まあ楽と言えば楽なんだけどねぇ、ちょっとヒステリーを起こした振りをしてバッグの中の物を投げまくってついでに液体窒素の入った真空瓶を投げて割ってやればいいだけだから。ただいちいち殺しの対象と親しくなるのがねぇ……
そういう意味ではあたしはあの場に集まった六人の中では一番『殺し屋殺し』に向いてなかったんだろうな。うわ、思い出すとまたあれだわ。金欲がむらむらと……
標的にされた殺し屋さんの写真を見る。そういえばあの時は集められたメンバーにただびっくりしてよく見れていなかった。平凡で特徴のない顔つき。良くもないけど悪くもない。
……あれ?
いま気づいたけどこの顔、どこかで見た気がする。
えーっと、たしか、そうだ。
「しろかわ はじめくん?」
昔々、孤児の施設に一緒に居た子がこんな顔をしてたような気が……
「んなわけないか」
あたしは写真をゴミ箱に捨てた。不相応な夢は見ないことに決めたのだ。




