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嘆息の話
俺が六秒ものあいだ呆我に務めたのは目前の状況があまりにも理解不能なモノだったからだ。
ちなみに俺は依頼人の顔と住所と電話番号を要求し本人確認をして、話をよく聞いてから仕事に入るが依頼人の浮気相手を調べるような探偵じみた真似はしない。
閑話休題。
さて、どうしたモノか。
先ず依頼人が死んでいた。
その死体を小四のガキが抱き締めていた。正面から抱き合う形で。足元の血が流れたまま、渇いて黒く染まっているところを見ると殺したまま少なくとも半日ぐらいはああしていたのだろう。単なる殺し屋に過ぎない俺は別に死体の専門家ではないから、半日という時間に根拠はまったくないが。
不意にガキと俺は目があった。
ガキは目立ったアクションを起こさずにただ諦めたように俯いた。
なんだかなぁ……
俺は溜め息を吐く。
それから形は無理矢理でこそあれ、一応俺はこの子を助けるために四人の小学生を手にかけたんだよな。っていまさらみたいに思い出した。




