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誕生の話(愛川既死期)
ビルを出るとなぜか青井ノなんとかさんが居た。
「愛川は死んだのか?」
あたしは頷いた。「やはりか」と感情のない声で呟く。
「お前が次の愛川、か?」
あたしがそう、なるのかな? と頷くと青井さんは言葉を続けた。
「お前はまだ弱く幼い。だから俺がお前を預かって鍛えてやろうと思うが、どうだ?」
あたしは頷かなかった。
なぜ?、と問う。
「俺は人間をわかりたい。だから愛川の真似をする。ただそれだけのことだ」
あたしは青井さんが頷いたのを見たけどどうして頷いたのかよくわからなかった。
「それに、泣いている子供を見たら大人はそれを助けるモノだろう?」
あたしは少し笑う。
「ところで俺はお前の名前を知らない」
あたしは少し考える。
「愛川、愛川既死期……かな?」
あたしは既死期という漢字を頭の中で思い浮かべる。誕生ならきっとこんな字を考えるんだろうなぁと思う。
「じゃあ既死期、先ずはその涙を止めるために何かウマイものでも食いに行こうか」




