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機能の話
「……そういえばどうしてでしょうね。まあ一億なんてはした金ですが」
「察するに恐かったのかね。
あの地下室から出れず死んだと思っていた俺が実は無名に等しい殺し屋として活動していて、仲介屋の一人を殺した話がお前まで届く。
俺の生存を知ったお前は復讐が恐くなって殺し屋を集めた。
だいたいこんなところか?」
「ふむ、反論と反証は容易に思い付きますが一利はあるかもしれませんね」
「つまんね。あっさりしてるよな。逆上でもしてくれたらちょっとは愉快だったんだが」
「私にそんな人間の機能はわかりませんよ。時と残酷に食い潰されましたから」
……あっはっはっ、
互いに取って付けたみたいに乾いた声で笑う。全く面白くもないし意味もないのだがなんだか酷く不様で可笑しかった。いま気づいたけど面白いと可笑しいって漢字が全然違うんだな。
「ではお返しにあなたについての私の考察も述べてみましょうか」
「いらねーよ、お前はさっさと死んでやがれ」




