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偶然の話
「ところでそれは何の真似ですか? もしや私を相手にした時の保険にでもなるかと?」
「……何の話だ?」
「ふむ、嘘の響きはありませんね。もしや全くの偶然でそれを? 運命とは奇怪なモノですね。いや、ただそれが私の娘だというだけですよ。そういえば退屈凌ぎにそれの母親に私と似た男の“解体”を納めたビデオレターを送り『あなたが自分の娘を殺さなければあなたの、」
俺は自分の体を盾にこいつの視線からシキを隠した。こいつの悪意はシキには強すぎる。
「親族一同をこれと同じようにします』と手紙を添えて殺させようとしたんですが、そういえば結果を確認するのを忘れていましたね」
シキが「半分殺した」と答えた理由を察する。シキの母親は娘に刃を握らせて自殺したんだ。
殺す意思を見せて失敗することで親族一同が解体されないわずかな可能性に掛けて。
吐き気のする話だ。
「なぁ、お前はどうして俺を殺そうとしたんだ?」
俺はあからさまに話題を変えた。




