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死産の話
「ヘェ、あの殊更切味を撃破してきたなんて、やるね」
「…………」
「ああ、自己紹介がまだだったね、俺の名前は、シノ、
「会いたかったぜ、機時惨告」
「……ヘェ、なんで俺が、いや、違うな、ちょっと待ってて、いま変えるから」
シノなんとか君は俯いて両手で自分の顔を覆う。その間に『芯』でも投げてしまおうかなぁと三流の悪役みたいなことを少し考えたがむしろそれを誘っているようにも見えたから辞めた。
「あれでもない、これでもない、ああ、そうそう、これだこれだ」
顔を上げてポケットから取り出した眼鏡を掛けて黒髪を後ろに流す。それだけでいきなり十歳くらい年取った印象を受けた。
シキが俺の袖を掴む。……震えてる?
「なぜ私が機時惨告だと?」
「声だよ。俺は耳がいいんだ。八年くらいでお前の腐った声を忘れる訳がない」
「ふむ、整形と偽造人格程度では足りませんか。個人が個人である証しとは消えないモノですね」
勝手に完結させて機時は頷く。




