国宝の話 神業の話
「き、貴様!」
「なんでジジイ言葉なんですか幼女さん萌え狙いですか? 萌え狙いですか!? それとも萌え狙いですか!!?」
やべぇ、もう自分で自分がわからん。だだ切味たんハアハア、ジジイ言葉の幼女は実在したんだよ、世界中の同士諸君。この人はもう宝だね、つか国宝。日本はいますぐ国を挙げて彼女の成長を食い止める薬を作り出して処方するべきだ!
「こ、殺す!」
あ、状況把握を忘れてた。柱が数本立っているだけのだだっ広いフロア、窓はあるが閉じていて風はなし。
電雷の速さで疾走する殊更切味の手には木製の棒、いや……
「持ってろ」 俺はバッグから『筆箱』を取り出して片割れをシキに投げた。俺には必要ない。バッグは手放す。幼女の手が棒の端を握る。銀が閃く。
(はやっ……!?)
緩い棒の湾曲で仕込み杖であることは見切っていたにも関わらず首筋に赤い線が引かれる。一瞬退こうとした俺だが追撃をかわし切れないと判断し間合いの内側に強引に突っこむ。……幼女と突っ込むって言葉が一緒に出てくるとエロい光景しか浮かばなかったやつに言っておくが、それはお前の頭が病気なだけで俺のせいじゃねーぞ?
普通の人間なら刃より内側は安全なはずなんだが俺は一瞬だけ相手が幼女であることを失念していた。閃光、
「ッ……、」
俺の上腕の半ばで刃は止まってくれた。幼女の手首を止めた膝でそのまま前蹴り、幼女は自ら後ろに飛んで衝撃を流す。離れ際に縦薙ぎの一閃、鮮血と激痛。
そう、相手は幼女。手足が普通の相手よりも明らかに短いのだ。刃の内のスペースが絶望的に狭い。
ってか、そんな問題じゃない。普通にクソ強い。正攻法じゃ勝てん。
体を捻り再度閃く致死の軌跡上に俺は『筆箱』を投げた。
「!」
電速で幼女が反応、正面から切断せずに峰を使って捻り飛ばす。毒薬やガスを警戒した人間離れした神業、しかしそれでいい。
ブゥン!
「!?」
戦闘能力において最強たる殊更切味ですら未知の音が耳をつんざく。




