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殺人の話(虹立黄色)
鍵の掛かっているはずの扉を開けた男の人は驚いた顔をした。
あたしがいることがよほど予想外だったみたい。
「ここ、愛川の部屋であってる、よな?」
ジョーの友達? ならこれからもお話することがあるかも。
あたしは笑顔を作る。ママからこれが女の子の世渡りの秘訣よ、って教わっていた
からだ。
「はじめまして、虹立黄色です」
「ニジタテ? それ本名か?」
「うん、黄色は黄色だよ」
男の人の目が輝く。
「マジか、けど虹立なんて名前は多くは……」
ぶつぶつキトキがどうとかいう一人言の後、「きゃ!?」急にあたしの襟首を掴んだ。
「やめてよ!」
叫ぶけど離してくれない。あたしは強く男の人の手を噛んだ。
「ツ……!?」
手から逃れてジョーの部屋の奥に逃げ込む。少し血の味。
「手荒なことはしたくない。来てくれないか?」
笑顔が恐かった。
あたしは武器を探す。ない。いや、一つだけあった。ゲームの入ったプラスチックのケース、叩き割って尖った物を握る。
ザク




