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離脱の話(鮫口冷袋)
ばっっっっっっっかじゃないの……?
と、鮫口冷袋は思う。たしかに愛川とかいう殺し屋一人殺しただけで一億は魅力だ。いや、魅力「だった」。
一億あれば鮫口だって殺し屋なんて面倒な職業から足を洗えるだろうし、その後の人生もある程度自由は効くかもしれない。
しかし青井ノ二振リ・影打を相手にするなんて冗談じゃない。あれは機時惨告並に、人間の恐怖を見ることにこの上ない喜びを感じるあの変人クラスにタチが悪い。鮫口が知っているのは青井の「真打」の方だが充分に関わりたくないと思える。青井の拷問見て鮫口はあんな姿になっても人間は生きているのかと心の半分で感心し残りで恐怖した。
逃げよう、と即決で鮫口は決意した。
元々彼女に廃縞十鬼や殊更切味を出し抜けるような強さや情報力はない。
一億欲しかったなぁ……
欲望が彼女を振り返らせた。丁度、機時がアジトから出て行く所だった。
「……あれ、そういえば機時惨告ってあんなに若かったっけ」




