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依頼の話
青井は俺の足の処置をテキパキと行った。的確で早い治療に驚く。そういえば先代も傷の処置は上手かった。思い出してみたらどこか手つきが先代に似ている気がする。
「終わりだ、しばらくは絶対に動かすな」
最後に綺麗に包帯を巻いて青井が告げる。
「動けない、か」
過ぎ去る時間の分だけ掴んだ機時惨告は遠ざかるだろう。そして一度遠ざかれば二度と会うこともない。仲介屋との繋がりが切れた俺に使える手札は一枚。
「……なぁ、個人的に仕事を頼めるか?」
「地獄の沙汰も金次第、と世間では言うそうだ」
「200万払う」
青井ノ影打は顔をしかめる。
「信用できないな。本当は無一文とかいう可能性が無くもない」
俺はバッグから札束を机に放り投げた。ご隠居とやらからの二百万だ。
視線を落として少し考える。
「相手が機時となると、足りないな」
俺は舌打ちを一つして「死ね」と言う。
青井影打は俺の顔を見た。
「…………」
いい歳した男が珍妙な顔して押し黙った。




