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資格の話
「着いた」
俺を背負った男が見上げたのはバカデカい高層マンションだった。
「って、おい。何を堂々と入ろうとしてんだ? もっと潜めよ」
「同じだよ。誰も尾行になど来ていない。というか来れない。この一帯はご隠居の私有地だからな」
「私有地に高層マンション……?」
「主に裏取引に使われているが、ご隠居が救うに値すると断じた人間を匿うことにも使われる」
『施設』に馴染めない子供や親族の暴力などで心的な傷を負った人々が主だ、と男は付け足す。
「よくわからん人だな、そのご隠居って」
「誰かと比べて特にわからないということはないと思うが」
そんなもんか?
シキが無数に疑問符を浮かべている。話についていけてないようだ。
……ん?
「そういやシキはなんでこいつについてきたんだ?」
「ジョーとおんなじ匂いがした」
「こんなおっさんと一緒にするな」
「そんなに嫌か、というかなかなか鋭い子供だな」
「どういう意味だ?」
「資格こそないが俺も愛川だ」




