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鬼神の話
死体から離れようと思った矢先、曲がり角の先にそいつが居て俺は身を隠して息を潜めた。
「んー困ったなぁ、この道さっきも通った気がするんだけど」
(っ……、廢縞十鬼じゃねぇか)
こいつのことは俺が殺し屋になってしばらくして仲介屋が珍しく親切に写真付きで解説してくれた。
殺し屋を殺す殺し屋。
ついた異名は『捕食者』
こいつを見たら必ず逃げろと聞かされた。
俺達のような殺し屋の命になんか毛ほどの価値を感じていない仲介屋がなぜわざわざそんなことを言うのか俺が不思議がっているとこう続けた。
「このところこいつに殺し屋が何人も喰われて数が減りすぎてるんだ」
そんな化け物と殺り合うとか冗談じゃない。
あの通りを右に曲がってくれることを祈る。ひたすら祈る。お願いですから。一兆万円あげるから。
そんな思いが通じたのか廢縞十鬼は通りを右に曲がった。
……ふぅ 命拾い。
「ねぇ、そこの人さぁ」
!?
「なんで僕がこっちに曲がったら安心したの?」




