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慧眼の話
にしても最初に殺し屋が来たか。
仲介屋の連中が人海戦術かけてくるのが先かと思ってたんだがな。
……なにか妙だ。
あいつは『魔術師』を名乗った。『魔術師』なら俺のような下っ端でも名前と多少のやり口ぐらいは知ってる。大道芸じみた手口でありながら証拠を残さず紅蓮に包む。
殺しの跡には消し炭しか残らないとか言われているはずの、
殺し屋の中でもそこそこの有名所だ。
あんな大物が俺みたいな小者を殺しに速攻で出てくるか?、普通。ありえねぇ。
仲介屋の下っ端連中から情報を引き出して逃亡の筋道を立てるつもりが、宛が外れた。
単に俺の予測が甘かっただけなのか、それとも何かが起こっているのか。
(……考えてもわかるわけねーよな)
推測を組み立てるにもカードが少なすぎる。
手元にある情報だけで組み立てれる慧眼は俺にはない。
とりあえずは逃げるしかできないか。
「シキ、見てたか」
「うん」
「そっか」
頭を撫でてみた。
シキは猫みたいに目を細めた。




