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午後の話
二日後、昼食に出てきた学生や社会人が引き上げて人が消えた遅い昼頃。
買い物に出ていた俺とシキが角を曲がるとスプレー缶を握り締めた女がこちらを見て笑っている。
ゴウッ!
唸りを上げて吐き出されたのは気体ではなく炎だった。ライターをスプレーの前で着火しスプレーを噴霧すれば簡易の火炎放射器になる。あれを缶の中で独立させているんだろう。俺はいま来た道に飛び込んで炎をかわし左手を振り右手でシキを抱えた。
「はじめまして『七つ道具』さん。わたしは火神 火元。『魔術師』と異名を取ってるわ」
「……さよならの間違いだろ」
火神と名乗った女は吐血した。
「は…… え……」
回避と同時に俺は左手で『芯』を投擲して心臓を狙ったのだ。
だいたいその凶器は簡易さと攻撃範囲と機構を取り除けばヘアスプレーとして誤魔化せる利便性こそ素晴らしいが殺傷能力が低すぎる。炎が恐ろしいのはあくまで煙だ。
「つーか愛川に一般人を殺すための道具が通じるかよ」




