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拒絶の話
「僕に殺させたい人は誰なんだろ」
「わからない。たぶん東条友也っていう、警察の人の関係者。油田五忌振はいまその人と戦争してるの」
「戦争?」
ここ日本だよな?
姉ちゃんは頷く。
「だからやめて。あいつといるとろくなことにならない。東条友也もこっち側に通じてるから、カズも殺されちゃうかもしれない。私はそれがすごく嫌なの」
わたしを撃った代月深墓も彼の手札の一枚なの。と付け加える。ライフルなんて使う人は日本では彼くらいしかいないそうだ。
「話せてよかったよ、姉ちゃん」
僕は笑って、それ以上の会話を拒絶した。
姉ちゃんが僕の手を握り締める。行かないで。って言っているみたいだった。だけど僕はそれでも皆木を殺したいのだった。姉ちゃんを失ってでも。
だいたいここで皆木だけ殺すのをやめれば、死んだほかの四人に失礼じゃないか。
身勝手な理屈を胸の内で唱える。
僕は何人でも殺してやるんだ。
その先の未来で、いつか皆木が殺せるのならば。




