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魅いられる  作者: 月島 真昼
三章 愛川数死の殺人事件
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記憶の話


「俺にはお前の頼みをきいてやる義理もないにゃ」

「どの口がほざくんだよカズシのこと利用したくせにっ!」

「そのへんは持ちつ持たれつだにゃあ」

 殊更さんほんとに厚顔無恥だなぁ。

 ある種、尊敬するよ。

「じゃあこれからは騙すようなやり方じゃなくても、ちゃんとあなたの意思に沿って殺します。だからとりあえず姉ちゃんを助けてください」

「……お前気づいてたにゃ?」

「そりゃあね」

 僕は苦笑いする。

 皆木の家は金がない。だから小学生のころから他人を羨むような仕草を見せていた。つまりあの金持ちそうに見えた家は、殊更さんがわざと違った場所の情報を与えて違う人を殺させたんだと思う。ちゃんと最初の二人については正しい情報をくれてからなのがやらしいなぁ。しかし記憶というのは存外宛てになるものだ。

「ふむ、悪い条件じゃないにゃ」

 殊更さんがハンドルを切る。

「ああ、でも土屋を殺してからにさせてください」

「土屋弘は二年前に自殺してるにゃ」

 


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