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魅いられる  作者: 月島 真昼
三章 愛川数死の殺人事件
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人間の話


 ゴミ箱を蹴り飛ばした。冷蔵庫に片手をつく。血のついた包丁が足もとに落ちる。息が荒い。頭の中がぐちゃぐちゃだ。


 ――殺すの? うんわかった。いまさら遅いかもしれないけど、ごめんね。


 冷めた声で真理は言った。

 刃物を向けられ、これから殺されようとしながら。

 違う。

 僕はそんなのが聞きたかったわけじゃない。彼らはゴミで僕はそれを焼く焼却物だ。胸の内を焼いている火を彼らに移してやれば、僕は少しだけ幸せになれた。

なんてことだ。

 真理が人間の形をしている!

 頭ではわかっている。あれはただのストックホルム症候群だ。自分が壊れるのを防ぐために脳が心を騙しているのだ。あの謝罪は殺されないために、“犯人にとって都合のいい真理”を脳がつくりあげたにすぎない。なのに僕には、殺せなかった。

「ねえちょっとあんたどうしたの? 大丈夫?」

 隣の部屋から真理が叫ぶ。

 僕は考えたくなかった。

 考えたら押し潰されてしまうことがわかりきっていたからだ。



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