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余裕の話
指定された日は大学を休み、昼間に皆木かおりの家に行った。
尾行の刑事さんはなぜか長月さんではなかった。
油田五忌振の数人に協力してもらい人混みに紛れて捲いた。
皆木の家は特に引越しなどしていないらしくて、当事通っていた小学校の近くにあった。
校舎を見上げて、僕は懐かしい日々を思い出す。
ユウは鬼ごっこが好きだった。僕らと一緒に遊んでいた七人のグループの中では一番足が速くて、逃げるほうでは誰にもつかまらなかった。ユウのせいで鬼を二人にしようという案が出たくらいだ。もっとも二人で追いかけても、まだ余裕綽綽だったわけだが。
むしろ鬼を二人にするルールの恩恵を受けたのはユキのほうだった。運動のできるほうではなかったユキが一人で他の人をつかまえるのは難しかった。だからユキはいつももう一人の鬼に協力してもらっていた。いまにして想えば暗黙の了解でユキを集中狙いしなかったあたり、よくできた友人達だったのかもしれない。




