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上手の話
家に帰った。道中で「降りた駅こちらじゃあ、りませんでしたよね」とか「どちらに向、かわれてたんですか」とかいろいろ聞かれた。僕は適当なことしか答えられなかった。ああ、やばいなぁ。用意して貰ったアリバイ工作に意味がなくなってしまった。すぐに殊更さんに連絡をいれて、工作が無駄になった件について侘びをいれる。
「仕方ないにゃ。その刑事さんが一枚上手だったにゃー」
ある程度予想していたような響きだった。
「殊更さんは長月さんのことを知ってるんですか」
「にゃー全然知らないにゃー」
僕は長月さんと同じくらい厚顔無恥な人間を一人だけ知っていた。
殊更さんだ。
「とりあえず殺そうと思うんですけど、なんかいいアイデアありますかね?」
「なんかおまえ吹っ切れてきたにゃ……? 警察殺しはやめといたほうがいいと思うにゃー。面子とプライドにかけで殺す気でおっかけまわされるにゃ」
「別に捕まってもいいんですよ。自首するのもありかなって」




