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贅沢の話
物音を立てないように一階の部屋を覗いてみた。母親以外は誰もいない。正也は一人っ子だったはずだ。父親はたぶん仕事だろう。正也と母親だけ殺して帰ることにする。できたら皆殺しがよかったなぁ。贅沢を言っても仕方ないので包丁をとって心臓を刺し、殺してから、二階の正也の部屋をノックする。「うっせえよクソババア失せろこの部屋くんな!」大声で罵声が飛んできた。血管が一、二本切れるのを感じた。
なんで僕が喉から手が出るほど欲しかったものを持ってるお前が。
なんで僕からそれを奪ったお前がそれを大事にしていないんだよ?
ドアノブを捻る。鍵はかかっていないみたいだ。簡単に開いた。テレビ画面を見ていた正也が振り返る。顔面を蹴っ飛ばした。本気で蹴った。折れた歯が転がる。僕も多少痛かった。片足で肘を踏んでもう片方のつま先を喉奥に突っ込む。死ねよ。腕を自由にしとくのは危ないので肘に向けて思い切り包丁を突き落とした。刃が欠けた。




