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切符の話
殺すと決めたのはいいものの、どこでどうやってどういう風に殺そうか。車で事故を起こしてくれたら理想的だ。例えば運転中に突然タイヤがパンクを起こしてくれたらいい。僕と関係のないところで通り魔にでもあってくれたらなあ。都合のいいことばかりを考えて、一旦思考を止める。ため息を吐いてから、一から考え始めようとした。
「もう少しご一緒したかったので、すがわたしここで降りさせていただきますね」
え?
呆気に取られる僕を置いて電車から降り、手を振る。扉が閉まる。
……まだ何もしていないのにすごく疲れた気がする。
あの人、いったいなんなんだろ。
なにか不穏なものは感じている。中止にしようかとも思った。けれどこの機会を逃すのももったいない。
結局僕は池谷の家に向かうことにした。
ここまできてやらなかったら電車賃が勿体ないからだ。
僕は中で待ち合わせていた油田五忌振の一人と切符を交換して、電車を降りた。
長月さんは後回しにするか。




