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更生の話(中西勇太)
八年の年月は人を変えるのに充分なものだ。当事の俺はバカだった。バカすぎた。三人もの人間の命を奪っておきながら何をへらへらしていたのか。殺されても文句が言えない。ここを出たらまず遺族の元へ、一志のところに行こう。土下座して謝罪しよう。きっと許してはもらえない。あたりまえだ。それだけのことをしたのだ。あちらは俺の顔も見たくないだろう。けれどだからといってなにもせずに済ましてはいけない。
遺族だけではない。たくさんの人に迷惑をかけた。俺自身の家族や弁護士さん、警察官。少年刑務所では俺のようなどうしようもないガキを更生させるために大勢の人間が手を尽くしてくれた。それらすべてに対して感謝することができなければ、いまの俺は嘘だ。
一つ一つに丁寧に頭をさげていこう。
泥を投げられることは予想できる。しかし俺が投げられるよりも膨大な量の泥を彼らは被ってきたのだ。
俺は少年刑務所の出所を許可され、実家に歩いていく。




