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最後の話
僕はこの七年間ではじめて、復讐を一日以上忘れることができていた。試合や練習はとても厳しくて僕は疲れて帰ってきて倒れるように眠り、朝になって仏壇の前で恨みを思い出すのだ。少しだけそのまま忘れようとした。けれどダメだった。僕には火がついたままなのだ。僕か、家族を焼いた何人かの、どちらかを焼き尽くすまで消えない火が僕の脳髄を焦がしていた。忘れられなかったし、やっぱり僕は忘れたくなかった。錆のような黒いものが僕の心を覆ったままだった。
それを見透かされたのかもしれない。彼女には二年の最後で振られてしまった。「カズは私を見てない」と言われた。そんなつもりはさらさらなかったのだけど。三年にあがってからはほとんど彼女と話さなくなってしまった。残念だったが、それで仕方ないと思えるあたり僕は心の底から彼女を求めていたわけではなかったのだと思う。
高校三年間はとても充実していた。
けれどそれでも殺したいままだった。




