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侵入の話
男の人が入ってくる。不法侵入者のくせにちゃんと靴を脱いで、気さくにこちらに笑顔を向けてくる。僕は呆気に取られながら彼を半ば呆然と見ていた。歳は高校生くらいだろう。僕は自分より大きい人はみんな大きいと感じるが、彼は年上の男の人にしてはずいぶん小柄なほうだった。明るい色の髪の毛に茶色のサングラスをしている。あきらかにサイズのあっていない服は、なんだか絵に書いた不良みたいな格好に見えた。率直に言ってかっこ悪い。
「死期さんいる?」
誰だろう、この人は。黄色姉ちゃんの知り合いのみたいだが。なんてフレンドリーな声をだす不法侵入者なんだろうか。
僕が不信感バリバリの目で彼を見ていると、「にゃあ、俺? 自己紹介いる? 似てない?」と言う。似てる人は思いつかない。ちょっとしょげたように俯いてから、改めて僕のほうを見た。
「殊更切無ってんだけど」
ことさら、きれなし……?
「え、切味ちゃんの?」
「そっ、兄貴。歳は四つ違い」




