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騒音の話
街灯に照らされた夜の町は俺の目には明るく昼間ほど生き苦しくなかった。
仕込みを終えた俺は古い怪談を思い出す。
暴走族の騒音に腹を立てた老人がその通り道に糸を張って捕まえてやろうと待ち構えていた。
すると暴走族とまったく関係のない若い男がバイクで通りかかり男の体は鋭い糸に引き裂かれてバラバラになった。というモノだ。暴走族は何人それを思い出すだろうか。
遠くから轟音が風を切る。俺のほうに迫ってくるのがわかる。何台くらいだろう。五、六台。おそらく六だ。一際大きい違法改造された爆音がターゲットらしい。
視界の先の点と音の速さから距離を推測。そろそろか。
3……2……1……
ターゲットのタイヤを鋼線が貫通する。鋼線自身も負荷に耐えきれず、切れる。
急激にぶれた車体は横転し仲間を巻き込んで将棋倒しを起こす。壊れたタンクから漏れ出したガソリンに摩擦熱で上がった火花が炎を上げて、残ったわずかな痕跡である糸を燃やし尽くす。




