115/195
墓標の話
ナイフ部隊がボウガンで狙えるだけの隙間を開けながら先行。と、後ろにいた私たちだからわかったが、唐突にボウガン組の最高尾にいた油田の頭が吹き飛んだ。
狙撃ライフル?!
日本に銃火器を使う殺し屋は滅多にいない。音が派手で、現場に銃弾を残すため足がつきやすいからだ。私が聴いたことがあるのは、代月深墓という人だけだ。一人目が倒れて音を立てる前に、二人目の頭が打ち抜かれる。成木と死出くんが即座に弾丸が来た方向を推測し軌跡の死角を取る。切味ちゃんは次々に殺していく。全滅させるまでに一分も掛からなかったと思う。
「もうよいぞ代月。廃縞のほうを援護してやれ」
服につけてあるピンマイクに向けて切味ちゃんが言う。それから仕込み杖の切っ先を成木に向けた。
「成木本家次期頭目とお見受けする。手合わせ願おうか」
「お断りします。僕はもう成木の一族じゃない」
「そのような理屈が罷り通ると思うたか?」
諦念の息を吐く。
試験管を構える。




