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無策の話
「んで、こっからどうするんだ?」
「正面突破あるのみ!」
「まじかい……」
そういえばずっと聞きそびれていることがあった。どうして成木は殺し屋をやめようと思ったのか。あとで聞いてみよう。
私は扉を開けた。
「愛川? どうやって、いや、どうしてきた?」
「キイっ?」
美咲の高い声。よかった。二人ともまだ生きてる。
「借りを返しに。ご不満?」
「いや、ありがとう」
周りには油田五忌振らしき人達がたくさん。一人に美咲が拘束されてナイフが首に。
中心に立つ女性が成木の本家の人だろうか。
「でもこれには僕がケリをつけるから」
成木は試験管を構えていない。
「何度言われても僕は本家には戻らない」
「どうしてですか」
「成木の殺し屋になるためには一番大切な人を殺さないといけないんだろ。僕はそんなのは絶対に嫌だ」
「あなたが姉弟思いの優しい子に育ってくれたのは姉として嬉しく思います。でも……」
「勘違いするなよ。僕はお前らなんてどうでもいい」




