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潜伏の話
死出くんを連れ出して人混みに紛れ、廊下に出る。成木は無理矢理手を引かれながら先を歩いてる。階段の辺りで油田が成木だけを進ませる。別のやつが他を帰そうとする。素人くさい。死角から横をすり抜けるのは簡単だった。階段の影に身を隠す。死出くんが先回りしている。
戻ってきたそいつの弁慶の泣き所に踵を叩き込んだ。片足が浮いたところで足払いを掛け、後頭部を地面に叩きつけるように蹴りを入れて昏倒させる。それからボウガンを奪う。足技はおっさんと、誕生譲りだ。
「使えるのか?」
頷く。武器の使い方は一通り習った。
「ボウガンなんて急所撃てないと意味ねーぞ」
「それは考えてなかった」
死出くんはナイフを一本抜いて寄越してきた。
「護身用に持っとけ」
受け取る。
「一応言っとくけどよ? 俺は愛川の名前を狙ってんだ。だからお前にこんなとこで死なれると困るんだよ」
「ツンデレ?」
「うっぜぇ」
下が騒がしくなってきた。
成木のあとを追い掛ける。




