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怨恨の話
「僕には予防線を張れなかったよ、姉さん」
その一言でいろいろわかってしまった。
「そう。えらいね、カズは」
頭を撫でてやる。カズくんはちょっと泣きそうな目をしてる。
「いじめられてたのは、ユキだったんだね」
辛そうにカズくんが俯く。ユキは逆にずっと伏せていた顔をあげた。
「あかりの好きな人をあたしが盗っちゃったんだって」
うわぁ。ドロドロだなぁ、小学生。
「あかりぶさいくなのに顔だけ広いからさ。あ、物理的な意味でもね。あちこち手を回してポン。って急に友達いなくなっちゃった。みんな薄情だよね。あたしが性格悪いからなのはわかってるけど」
そんなことないよ、とも微妙に言えない。
「でも、そこまでやること、ないよね」
カズくんが肩を抱いてやるとユキちゃんはしくしく泣き始めた。不謹慎だけどなんだかカップルっぽい。私と成木よりは断然に。
「それだけ。まあなんとかするよ。応援してて」
何か言おうと思ったけど何も言えなくて頷いた。




