灰色の朝、彼は
はじめまして。初めて作品を投稿します。
少し静かで、不思議な雰囲気の話です。
最後まで読んでもらえたらうれしいです。
朝の空は灰色に沈み込んでいた。
暗い雲が空を覆い、今にも泣き出しそうだった。
「絶対雨降るじゃん。傘、持ってくればよかった……」
冷たい風がスカートを靡かせる。時間は朝の7時43分。学校まではあと15分。
でも、彼女の歩みは少しだけゆっくりだ。
——あれ?なんか、あそこ騒がしくない?
ふと、彼女の視線が止まった。狭い公園の奥。
複数の男子に囲まれて、ひとりの男子が立っていた。
「お前、なんで生きてるんだよ」
「顔がいいからって調子乗んなよw」
「そろそろ消えろよ、見ててムカつくんだわ」
一目で、それがいじめだと分かった。
胸の奥がぎゅっと締めつけられる。怖い。ここから逃げたい。なんでこんな道、通ったんだろ。
そう思ったはずなのに——気づけば、足が前に出ていた。
「朝っぱらからうるせーな……。おいお前ら、嫌がってんの、見えてねえのかよ。なあ。」
男たちが振り向く。
「なんだよこの女、キッショ」
「もう行こうぜ、やる気なくしたわ」
「よかったなインキャ、お姫様が迎えにきてくれたぞwww」
彼らは去っていった。
——なんであんなこと、言ったんだろ。
後悔する暇もなく、私はその男子を心配していた。
「君、大丈夫?濡れてるよ……はい、これ。」
私はハンカチを差し出した。
彼はゆっくりと、震えながら顔を上げる。
目が合った瞬間、私は思った。
——なんでこんなに綺麗な顔してるのに、あんな酷いことをされてるの……?
黒髪の下からのぞく瞳は、まるでこの世界に興味がないようだった。感情の色が、どこにも見えなかった。
彼は何も言わない。ただじっと、私を見つめている。
少しの間、沈黙が続いた。
ほんの一瞬だけ、彼の目が、揺れた気がした。
読んでくださってありがとうございました!
初めての投稿なので、少し緊張していますが、
次回もがんばって更新していきます!