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赤いコスモス

作者: 雲母あお

気づくとコスモス畑に座っていた。

「ここは・・・」

どこをみてもコスモス。風もないのにゆらゆらと揺れている。


学校に行っても居場所がない。

家にも居場所がない。

私の居場所なんてどこにもない。


「綺麗な白。」

ふと目の前を揺れる一輪の白いコスモスを摘んだ。

プツンと小さな音がした。

世界が真っ黒になった。


気づくとコスモス畑に座っていた。

さっきまでいたコスモス畑と同じ場所だろうか。

とても似ている。でも少し違う。

「白いコスモスがない?」


今度は、幸せそうな薄いピンク色のコスモスを手前に引き寄せると、

「これから私は、生きる、死ぬ、生きる・・・」

コスモスの花びらが全て落ちた。

コスモスの花びらは8枚。

世界が暗転した。


気づくとコスモス畑に座っていた。

「まぶしいな。」

黄色の花をそっと摘んだ。

世界はまた暗転する。


気づくとコスモス畑に座っていた。

私が摘んだ花たちの姿が消えた。


赤いコスモスだけが咲く世界。

血の色には遠くて近いその色は、一面を覆い尽くす。


「消したいものを摘んでしまえば、綺麗に消えて無くなるのかな?」

自分の首に手をかけた。


そして、世界は暗転した。


気づくとコスモス畑に座っていた。

赤いコスモスでいっぱいだ。


「赤は血の色に遠くて近いなんて言ったけど、赤いコスモスの花言葉って・・・」


一面に咲く赤いコスモスを見渡す。

両目から熱いものが溢れては落ちていく。


私のコスモス畑。

私の私だけの世界。

気づくと赤いコスモスしか咲いていなかった。

あとは全部摘んでしまった。


これも苦しいからいらない

これも苦しいからいらない

これも苦しいからいらない

これも…これも…これも…


自分も苦しいからいらない

そう思ったのに、コスモス畑から全部のお花が消えることはなかった。


気づくとコスモス畑に座っている。


捨てられない思い。

願い・・・


赤いコスモスの花言葉は『愛情』

コスモスは愛情の花・・・


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