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いつかの貴方にさようなら

作者: Syurutu

 ヤンデレが嫌い、苦手という方は閲覧をご遠慮ください。むしろストーカー?

 

 右手にずしりとのし掛かる重く冷たい感触を確かめつつ私は君を眺める。


 夜の帳が落ち、完全な静寂と闇に包まれた世界に私と君は二人きり。


 脱力し座り込む君は何処かへ出かけるつもりだったんだろうね、昔私が送った黒いカクテルドレス、とても似合っているよ。

 

 長い睫毛に縁取られた蠱惑的な瞳は恐怖に揺れて、一杯に涙を貯めている。

 

 艶やかな光を放つ薄くグロスが引かれた肉感的な唇も、また恐怖に震えている。かつては私に愛を囁いてくれた面影は何処にもない。


 きめ細やかな白磁の肌は泥と血に汚れ、絹糸の様な黒髪はぼさぼさで荒れ放題。普段から丁寧に櫛で梳かし椿油で手入れされていたそれには最早美しい輝きは何処にもない。


 ああ、ここまで汚れてしまっているというのに彼女はなんと美しいのだろうか。精緻な造形の彫像の様な美貌は私を含めて一体幾人もの男、いや、下手をすれば女達をも魅了してきたのだろう、きっとそれは計り知れない程であろう。


 それが今や私一人だけの物、それももう少しすれば永遠の物になる。


 そう考えると憎くて堪らなかった裏切りさえも愛おしく思える。


 永遠の愛を誓った唇から吐き出された裏切りと侮蔑の言葉。私の頬を優しく愛撫した手によって突き刺されたナイフ。艶めかしく何度も目を釘付けにされた脚から放たれた蹴り。一円さえも残って居なかった貯金通帳の額面。手酷く破壊され、跡形も無くなってしまった大切な母の遺品のカメオ。


 彼女の全てが愛おしくて堪らない。この気持ちをどうすればいいのだろうか。


 そうだ、こんなにも溢れそうなのだから溢れさせてしまえば良いじゃないか。誰に憚る必要なんてありはしないのだから。


 「愛しているよ、心からね」


 ゆったりと右手を持ち上げ彼女に差し伸べる、正確には右手に握っている物を突きだしているだけなのだが気分的に美しいお姫様をダンスに誘っているようだ。よく君は私の仕草や台詞は芝居がかっていると言って笑っていたね。


 恐怖の色合いを濃くした彼女の顔を見つめていると不意に笑顔が零れて落ちた。とても良い気分だ、かつて無いほど良い気分だよ私は。


 彼女が唇を開きかけるより幾分か速く私は人差し指を握り込んだ。


 薄暗い路地に響き渡る炸裂音、コンクリートを落ちた空薬莢が叩く甲高い金属音。


 彼女の額に咲いた一輪の紅い華。


 これで君は永遠に私だけの物。私の愛も永遠の物。そして私たちの世界も永遠になった。


 心の奥底から生み出される哄笑を堪え、微笑程度に抑える。こんな時間に叫んでは近所迷惑だからね。


 細心の注意と出来うる限りの優しさをもって、力の抜けた彼女を抱きかかえる。勿論お姫様に相応しい抱き方といえばお姫様だっこ以外あり得ない、君の肌はなんて柔らかく魅惑的なんだろうか、許されるものなら顔を埋めてしまいたくなる。


 いけない、いけない。私とした事が、なんとはしたないことを。


 愛、愛、愛。心を埋め尽くす甘美な愛。私の心には彼女への愛と恋慕しか存在していない。それ以外に何が必要なのだろうか?


 かつて抱いた強い憎悪の感情は何処にも無い。一時とはいえそんな無粋な思いを抱いてしまった私は多分最も愚かしい生き物だったんだろうね、今は天にも昇る気持ちだけどその点に至っては変わらないのだろう。まぁ私は君の為なら何処までも愚かになってみせるけれどね。


 行こうか、永遠の世界に、誰にも邪魔されない永遠の世界に。私…いや、僕と君だけの世界に。


 愛しているよ、心からね。

 一応恋愛のジャンルに指定しましたが、正直なんだこりゃな内容。筆者にもよく分かりません。ただスクールデイズをプレイして、「ヤンデレってよくね?」みたいな事考えてた時に書きました。本当に何考えてたのやら。

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