表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

VR世界での順風満帆と過酷なゴブリン退治をするクラスたち

間が開いてすみません!

「お、こりゃ良い」

スキル『辻斬り(名称は不服)』について練習し気が付いたことがある

それは辻斬りというスキルはただの不意打ちスキルではなく

「相手の死角に自動で移動できるスキル…思わぬ儲けものだぞ!」

モンスターとの戦闘にお試しで使ってみたところ連続で使用した時にそれが目に見えた

二撃目の辻斬りを放った際に瞬時に俺はモンスターの上へ移動していたのだ。

最初は何らかのバグかと思ったが辻斬りというスキルの特性を鑑みて出た答えがそれだ

端的に言えば短い距離で相手の死角限定の転移スキル。常に相手の不意を突けるチートではあるが…喜ぶのもつかの間

「逆に言えばこのスキルの特性が割れたら居場所も掴まれる危ういスキルだな…」

そう、『相手の死角に移動する』という仕組みがわかれば死角に意識を割くことでこのスキルが無効化されるというのが弱点でもう一つは

「移動する死角は俺には指定できないってとこだな…かなり痛いぞコレ」

移動する場所が俺には決められないという点だ。例えばこれを連続で使用し相手の不意に常に移動できたとしても『移動した先に攻撃が及んだなら即座に回避できない』という欠点がある。さっき戦ったモンガーがそれだ。全方位のディメンションウォールを放たれれば隙に入った瞬間にアウト。例えモンガーの死角であろうともディメンションウォールの隙ではない。このスキルがもし敵キャラ限定ならば

「相手の懐に飛び込むようなもの。だよな。懐に入ったら逃げられないんじゃ話にならない」

これは回避スキルではなく攻撃スキル。それゆえに躱すことを前提としたスキルではないと分かれば

「封印だな…。もっとレベルが上がってスキルの詳細が分かれば違うかもだけど」

ため息をついて表示されたスキルに封印の印を付け、いったんゲームをログアウトした




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

獅子神はゴブリンの巣窟に足を踏み入れる

もちろん今日まで鍛え上げられた生徒たちも一緒で今回のミッションは『ゴブリンに捕らえられた女性たちの救出』だ

それを聞いて、まず真っ先に女生徒はこのクエストを辞退した

それはそうだろう。ゴブリン。繁殖に特化したモンスター。そんなモンスターたちの捕らえられた末路は火を見るより明らか。正直に言えば凌辱された女の子を見るのは男でも気が引ける

そして唯一、このクエストに参加する女の子が一人。神崎唯奈。女だから侮られたくないという理由といち早くゴブリンに捕らえられた女性を助けたいという一心で行動を共にした


ゴブリンの巣へ到着。穴倉には腐臭と不潔なにおいが充満し鼻が曲がりそうだ。彼らに清潔という概念はないらしい。生徒の何人かは吐き気をこらえながら巣に向け足を進める

だが

「!。危ない!!」

最初に異常を察知したのは獅子神であった。何かの敵意がこちらに向けられているのと同時に矢が生徒に向け放たれた。それを剣ではじき返し

「みんな!!警戒を怠るな!!」

生徒全員に注意喚起と叱咤をぶつけみなも武器を構える。洞窟の入り口付近に弓兵と兵士が隠れていたのだ。だが獅子神の勘の良さで奇襲は失敗し矢継ぎ早にゴブリンは矢を放つ。それを盾で弾き後ろにいた神崎は魔法陣を地面に描き

「ヒートスピアー!!」

獅子神が攻撃に転じる前にまず神崎が魔法を放った。彼女は魔法の適性が生徒の中で群を抜き

火、水、雷の魔法を駆使できる女傑だ。ここに来る前に殺しの訓練は済ませている。

ためらいなく神崎は火の槍をゴブリンに向け射出。刺さった個所から火が噴き出て数体のゴブリンは瞬く間に焼死していく。それが引き金になったのか生徒の士気が上がっていく

俺達だってやれるんだ!!ここから良いところを見せてやる!そう意気込んで進んでゴブリンの前に進み出て切りかかる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

そしてゴブリンの兵士たちを駆逐しひと段落が付いた。初めての実践。弛緩した空気で生徒たちは精神が不安定になる。初の実戦。元の世界では命のやり取りや弓矢や剣などの武器とは無縁でなおかつ殺しあいになったのだ。初めて感じる死の恐怖。下手をすれば大けがや死に至るほどの致命傷をまだ洞窟前で味わったのだ。無理もないと獅子神は目を伏せる。実のところ獅子神も恐怖に押しつぶされそうだった。スペック差では圧倒していても命のやり取りをしたのは今日が初めてで矢が放たれた時は突き刺さる恐怖を押し殺して死に物狂いでいなしたのだ。だが獅子神に弱気は見せられない。見せればみな絶望する。みんながすぐに逃げ出さないのは獅子神という勇者がいるという心の支えがあるからだ。

「・・・・・・・・・・・・」

もし、ここで総てを投げだしたらどうなるか分かっている。使えない勇者など資金の無駄だ

すぐに切り捨てられ新たな勇者を召喚し使い物にならない僕たちはお払い箱。戸籍も保険もない市民ですらない僕たちはハンター業で生計を立てるか弱い者は…身売りにされてしまう

そんなことはさせない。そう心を鼓舞し獅子神は

「みんな、休憩が終わったら洞窟に入ろう。僕が先陣を切ってゴブリンを薙ぎ払うからサポートしてほしいな」

その言葉に生徒は賛同した。獅子神なら大丈夫。勇者だから俺たちを守ってくれる。そんなかりそめの希望でごまかしながら






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ