勇者降臨!!獅子神隼人VSそれを余裕で超えちゃう僕
走り掻き
リアル、という言葉しか出ないほどの細部までこだわったクオリティー…
異世界戦記侮るべし。
「ほわぁ…。リアルなゲームだなぁ」
VRゲームというのはまだ発展途上の域でしかなくリアルなものがないわけではないがそれは高名なゲーム会社に限り名前のないドマイナーなゲームに完成度を求めていたわけではないが予想に反して出来が良かったために感嘆のため息が出る。
感じる風、香る匂いに本当にゲームの世界にいるような臨場感
早速ステータス画面を出す。確か表示するためには
「ステータスオープン」
といった瞬間ステータスのウィンドウが出現し文字の羅列が浮き出る
――――――――――――――――――――――――――――
夢原 優 17歳 男 レベル1 職業 世捨て人
攻撃力 5
防御力 3
速度 4
魔法防御 6
魔法攻撃 0
武器 片手剣ショートソード
防具 布の服
特殊スキル ≪緊急お助けチートスキル≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
良い感じだ。ゲームと言えばやはり弱い時に成り上がる快感が癖になる
腰に据えてある片手剣の柄を摺る。本物のような質感。実物のような重量に硬度
だが引き抜いてみると手足のように馴染み軽い。まあゲーム補正なら当たり前か
草原の中ひとりぽつんと俺は立っている。周囲にはモンスターらしき獣がいて
「早速、一狩り行こうぜ」
それに向かって駆け抜けた
まず相手にしたのは・・・モモンガみたいなモンスター。モモンガではないよな?多分
名前検索の表示を出し対象に向け照らし合わせる。
【名前 ガンモー LV5】
「えぇ…」
まっっっっっっっっっっっっっったくネーミングのセンスがない!!!!絶望的なまでに
そこは○○モンガーとか爵位や枕詞みたいなのつけろよ!!と突っ込みたくなる
誰だよこれ作ったライター。手抜きにもほどがあんだろ!!!
ゲームの質が良いためにちょっと悔しい。ま、まあいいか。それよりも気にするべきは
「相手の方がレベルが高い…てか?」
わくわくさせるじゃない異世界戦記ちゃーん。チュートリアルもなしにレベル差を見せつけてくれちゃってまー
そしてエンカウントが発生して俺に気づいたようだガンモー
初の戦闘の相手に不足はない。すでに引き抜いている片手剣を構えて正々堂々
「カモンガンモーちゃん」
やすい挑発をガンモーに向けてクイクイッと手を曲げる。それが効いたらしくガンモーは
【ガンモー!!!!ヽ(`Д´)ノプンプン】
とかわいく怒って突進してきた。文字通り猪突猛進に向かってきて相手の速度を見計らう
スピードは多分誤差程度だろうと判断し回避に成功。一発喰らって見ても良かったがそれでゲームオーバーは花がない。
【ガモッ!!?】
ダメージを負って身じろぎするガンモー。実は回避し横切った際に霞切りを行ったのだ
「盾がないなら回避するしかないじゃない。みたいな?」
悠々と口笛を吹きそうなほど余裕な雰囲気を出しガンモーを余計に挑発する
頭に血が上っているようでガンモーは赤く膨れている。というか赤い風船みたいになってる
「あー…これは」
即座に撤退。このモーションでやることはひとつ。ゲーム共通の雑魚敵常套手段
【ガンモォォォォォオオオオオオオオオオオオオ!!!】
雄たけびを上げガンモーは膨らんで破裂、ではなく爆発した。周囲四メートルほどは吹き飛んだであろうガンモーは自爆をしたのだ。
テレレテッテンと音が鳴りレベルアップを告げるBGMが流れる。こういう古風なの好きなんすよ僕
――――――――――――――――――――――――――――
夢原 優 17歳 男 レベル1→3 職業 世捨て人
攻撃力 5→7
防御力 3→5
速度 4→6
魔法防御 6→8
魔法攻撃 0→2
武器 片手剣ショートソード
防具 布の服
特殊スキル ≪緊急お助けチートスキル≫
new!追加スキル≪辻斬り≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いやだから霞切りだって!!?通り魔みてーな名前つけんな!!!」
暗殺者のスキルみたいなものが追加され先ほどの技がスキル化したが名前が物騒すぎる
やはりこのゲームは色々センスがない。だがちょっとだけ愛着がわいてきた
「珍ゲーではあるがなんか成長を期待できるぞコレ」
そして敵を倒したことによりアイテムドロップ…ではなく死体が消えず転がったままだ
・・・なんというか、妙に生々しいというか。本当に殺して死んでしまったような不快感が後から襲う。気のせいと割り切りどうしたものかと顎に手を据えるといきなりメッセージウインドウが出てきて
≪モンスター撃破。剥ぎ取りができます≫
と書いてあった。なるほど、狩猟系ゲームか。納得。だからなんか切った後に血がにじみ出ててグロテスクなのね。ならレートつけろや
確か全年齢ゲームと書いてあったので年齢制限はないはずだが…だがやっぱり
楽しくなってきた。いままでにないとはいかないが伸びしろはあるぞ異世界戦記
そう思いこの草原一帯のモンスターを総て狩りまくったのだった
「一体…何が起こったんだ?」
獅子神隼人は突如起こった光の渦が発生し、それを手で遮り収まった後周囲を見渡した
「ここは…教室じゃない!??」
愕然とした。先ほどまであったクラス風景ではない。いや、光によってうずくまっている生徒たちは同じだがこの場所が円柱状の塔の内部に見える。少なくとも、海外でしか見たことのない作りに目を見開いた。これは現実なのか?石造りの塔に触れようとしたときクラスの人間ではない人の気配を感じた
振り向いた先にはハロウィンのコスプレのような魔法装束の男たちが塔を囲うように立っている
地面を見る。そこには塔一面に張り巡らされた六芒星の魔法陣が浮かび上がっている。
だんだんこの事態が飲み込めた気がする。何者かによって別世界へ飛ばされたのだ。非現実的だが非現実的なことが起こった以上認めざるを得ない。そして塔の入り口から現れる王族衣装の老人が手を広げ迎え入れるように
「ようこそ!異世界の勇者たち!!」
僕たちに向け声高にそう言い放った。
国王に連れられ塔の外へ行くと遊園地で見るような大きな城へ向けて生徒たちは連れて歩かれる。兵士たちが列をなし警護と監視を続けていることを横目にし連れられた先はテーブルに敷き詰めている料理の数々。それをクラス全員にふるまう為に用意されていた。大盤振る舞いではあるが裏があって怖いと思う子も中にはいて
ある者は困惑しある者は歓喜に打ち震えていた
特にクラスで浮いていた生徒たちが気持ちの悪い声を上げて笑っている。作法を知らず汚く食い散らかしながら
「ドゥフフ!!!異世界転移KTKR!!チート無双始まったでござるドゥフフ!!」
そんなのんきな状況ではないと神崎唯奈は呆れてため息を吐きフォークで乱暴にステーキを突き刺し口に運ぶ…調味料の味が薄いと少し顔をしかめながら
「いいじゃないか。こんな体験普通ないと思うよ」
ニコニコと状況を把握していながらも獅子神も楽しそうに笑う
「ゼンッゼン愉快な状況じゃない。私たちこれからどうなるわけ?」
「さあね。国王様によるとこれから魔王討伐の為にそれぞれのステータスを確認するらしいよ」
「はぁ~~~~~~~~。なんかゲームみたいね。おかしいとは思わないワケ?」
「その割には慌ただしくないじゃないか唯奈は」
「当然よ。ここで取り乱したらみんなが不安になるじゃない」
「はは、そうだね。僕も気を引き締めてないとね」
そんな談話をして食事が終わると王様は「突然ここに来てお疲れだろう」とそれぞれ生徒四人分の部屋を提供し各々が割り当てられた部屋へ入っていく。みな気疲れしていたようで部屋に入るなり寝静まっていく
そこに下劣な輩がいないはずもなく
「グフフ…ここ異世界。法律ない。ならレ〇プも合法…フヒィイィイ!!!」
「クラスの唯奈たんハアハア…。唯奈たんのステータスオープンの時がキター!!」
なんか名前もなさそうなモブたちが神崎唯奈の寝室に向けイチモツをイキリ立てながらこっそりと潜入していく。だが
「どこに行く気だい。ドザブロウ君にケイタ君?」
来るとあらかじめわかっていたように部屋の前に構え二人に向け言い放つ獅子神
「ここに用はないはずだよね?」
明らかに殺意と怒気をはらむ警告にひるむも彼らは勇んで
「う、うるさい!お前も唯奈たんを狙ってきたんだろ!?」
「憲兵さん!こいつです!!唯奈たんの寝込みを襲おうとした不届きものがおりますぞ!!」
見苦しい言い訳と擦り付けの為に大声で兵を呼ぼうと叫ぶドザブロウとケイタ。
そして兵士はやってきて。二人は「あいつを捕まえろ」と命令。それを聞いた兵士は目くばせをし
ドザブロウとケイタに向け拳を振り下ろし鈍い打撃音が廊下に響いた
「ごぶッ!!」
「ボオォォ!!!??」
倒れて気絶した二人を背負いどこかへ運んでゆく
「お疲れ様です。憲兵さん」
敬礼をして感謝を伝える獅子神に向けにこやかに兵士は
「いえいえ、獅子神様の警告通りです。下賤な奴らが貴重な戦力をそぐところでした」
憲兵に運ばれるまま彼らの往く場所は知る由もない
早朝となり朝食を済ませて我先にと彼らが期待していたことが始まった
玉座の前。ステータスプレートを渡され彼らは声高に叫ぶ
「「「「「「「「「「「「ステータスオープン!!!!!」」」」」」」」」」」」
そのかけ声と共に生徒全員のステータスが開示される。だがその大半は
「けー。良スキル良ステータスじゃねえのぉ」
「そんなものよ。現実なんて」
「チート無双したかったなぁ」
「まだ!まだだ!!まだ伸びしろがぁ!!!」
「成長系チートですか。大したものですね」
「まだ自分がチートスキル持ってるって自己暗示やめろ」
と各々まちまち。大したステータスではなくそんなゲームのようなことは起こらない
そう思っていた最中王様が驚きの声を上げる
「こ、これは…!!獅子神様!あなたは…!!」
「凄い…これが隼人のステータスなの!??」
――――――――――――――――――――――――――――――――
獅子神隼人 17歳 職業 勇者 レベル50
攻撃力 800
防御力 640
速度 1040
魔法防御 670
魔法攻撃 1100
スキル
≪天性の剣脈≫ 剣を振るうたびに練度上昇 剣聖のみに宿る
≪守護神の加護≫ 洗脳などの黒魔術無効 ほぼすべての攻撃を無効化できる
≪神の寵愛≫ 神の魔法を使用できる
≪勇者の誉れ≫ すべてのステータスを二倍に上げる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これが…僕の力…!」
信じられないという当惑と計り知れないステータスによる歓びが全身に打ち震え
「期待の勇者の誕生じゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」
国王の歓声と共に兵士たちは喝さいを上げる
「そいや、緊急お助けチートスキルってどんなのだろう?」
ふと気になったのでその項目を開いてみた。すると
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夢原 優 17歳 男 レベル∞ 職業 絶対者
攻撃力 ∞
防御力 ∞
速度 ∞
魔法防御 ∞
魔法攻撃 ∞
武器 神魔竜斬王
防具 無縫の神亜鎧
スキル
≪不死無効 絶殺の心得≫すべての攻撃が貫通し不死身や無敵といったあらゆるモノを防御無視で殺すことができる
≪神剣の深奥極≫ 剣聖を超える無謬の剣
≪武芸百般≫あらゆる武器を使用可能。リスク無効
≪チートキング≫総てのスキルを統べ自在に好きなステータスを付属出来る
≪真の仲間≫これらを仲間に付与できる
≪etc≫無限にスキルがあって書ききれないから割愛させて♡
特殊スキル解禁中 ≪緊急お助けチートスキル≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そっとステータスを閉じて
「見なかったことにしよう」
新たに冒険を再開した