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epilogue
この世には不思議なことに、飄々と存在する。
こちらを見ていなくても何かを見据え、夢なんて非現実的なものを
信じないフリして明日を描く、雨粒にも似た人間が。
─── 雨はやがて、君へ届くのだろうか
答えを出せばまた、
その瞳でこちらを貫くのだろう?
なにも知らぬフリして射抜くのだから、僕がたとえ酷薄だとしても、君も共犯だと思う。
「一瞬の痛みなんてどうってことない」
2乗は二度と混じり得ぬ不等号だ。
ピアスの穴を開けることは軈て、萎びた火薬、
そして咲く権利を得ることの出来ない花火を意味する。
揺れるフープは、雨粒を阻む月の我儘。
花散らしの雨も、翠雨も、秋霖も、凍雨も届かぬ、透明の距離がつなぐ淡雪の楼閣。