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愛する人から僕のハートを作ってもらおう。

作者: 七瀬






僕には、感情がない。

だって! 僕はロボットだからだ!

見た目は、人間そっくりに作られている。

それでも、僕はロボットだ。

僕には、お父さんお母さんがいないよ。

その代り、僕を作ってくれた女の博士がいるんだ。

博士は? とっても優秀な女性ひとでね。

頭が凄くいいんだって!

だから、僕を作り出す事ができたんだと僕に話してくれた。

博士が、若い時に運命の男性と出逢ったらしい。

その男性と駆け落ちをしたとか、、、。

でも博士も10代で若かった為、親に彼と別れさせられたと

言っていたな。

とても辛かったって、、、。

幾日も幾日も、彼を想い泣いたと...。

きっと彼も、博士と同じ気持ちだったと思うんだ!

彼は、親の命令で他の女性ひととお見合いをして結婚させられた。

でも、それは昔の話。

今はたまに、その彼が博士に会いにここまできて。

二人で仲良く話している姿を僕はたまに見る。

博士も彼もあれから、随分と歳を取ってしまったらしい。

博士は彼と別れてから、ずっと独身を突き通しているよ。

彼は、奥さんが先に亡くなってしまい、子供達も巣立っていった。

お互いの寂しさを埋め合うように、今の二人は僕から見ても

ほっこりするぐらい仲がいいんだ!

だからね! 博士が、いつも僕にこう言うんだよ。



『マタム! 人を愛する事は素晴らしいことなの。どんなに辛い

事があっても、人を恨んだり苦しめてはダメ! 愛する心が人を

愛するエネルギーに変えていくのよ。マタムには、まだハートが

ないけど? きっと貴方を愛する人があなたのハートを作ってくれ

る時がきっと来るわ! その時まで、優しい子でいなさい!』

『うん! 分かったよ、博士!』

『貴方は、私の愛する息子! あなたは少なからず私に愛されて

いる事を知っててちょうだい!』

『うん。』





 *




・・・でも? 博士はここから3年後に亡くなってしまった。

僕は、一人ぼっちになってしまったんだ。

でもね? 博士は、こういう事も考えて! 博士の大事な男性

スリーピーに僕の事を託していたんだ。



『マタム! よく聞いて! レディアから君の事は聞いている!

君は、これからは俺と暮らすんだ。レディアが本当の息子として

君を想ってきたように、今度は俺が君の“父親”になる! 君の為に

何でもしてあげるよ。レディアの大切な宝物の君だから! 俺が何が

あっても、マタムを大切に育てるとレディアと約束したんだ! 

だから、俺と一緒に暮らしてくれないか、マタム?』

『もちろん! 博士が心から愛した男性ひとだから! 僕も貴方

を心から愛するよ! 今日から、僕のお父さんだ! よろしくね!』

『・・・レディアの言った通り、素直でいい子だ! 今日から俺の事を

ダディーと呼んでくれ!』

『うん! ダディー!』





ダディーは、僕をギュッと抱きしめてくれたよ。

目にいっぱい涙をためながら、僕をギュッとしてくれた。

ダディーには、いろんな想いがあったはずだ!

博士の事、僕の事、これからの事、、、。

そんな想いをすべて受け止めて、ダディーは僕を心底愛してくれた。

本当の、僕のお父さんのようにね!

愛されるって? 凄く幸せな事だね。

愛するって? 凄く難しいね。

僕に、いろんな“愛のカタチ”を教えてくれたダディー。

僕もいつか? 博士のような女性ひとと巡り合いたい。

心から、愛せる女性ひとと出逢いたい!

その為にも、今はダディーと一緒に愛が何なのかを知りたいんだ!

僕だけの愛のカタチを作り出したい!

ロボットでも、愛を持てる事を証明したいんだよ。




最後までお読みいただきありがとうございます。

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