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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔法の使えない無能令嬢、趣味にかまけてたら婚約破棄される  〜魔法は使えないけど爆散なら出来ますわよ〜

作者: 青空のら

「どうして魔法が使える事を言わなかった!」


私が力を使った事に驚いたのか、スタイン殿下が叫んだ

ここは王都メイン通り外れ、とはいえ人通りはそれなりにある。

あらあら?道ゆく人が何事かとこちらを見ています。注目されて恥ずかしいですね


「あら、魔法が使えると特別扱いしていただけるとか、聞いていませんでしたわ?

この能力の事を話そうとした時に、言わなくていいと拒絶されたのはそちらじゃ無かったかしら?」


「!?しかし、だと言って、、、」


「異世界から来られた聖女様の魔法が凄い!って何時も話されてばかりでこちらの話を聞いてくれなかったのはどなたでしたか?」


「だからといって黙っているというのは」


「聖女様と比べられてもねぇ?でしょ」


肩をすくめてみせる

聖女様より魔力が少なくて当たり前、魔力が多ければどうなる事か

万が一でも一大事にならないように警戒するのは当然ですよね


「魔法が使えないから捨てられて、魔法が使えるから拾うのですか?聖女様との真実の愛はどうされたのですか?」


聖女様の魔法の能力が期待した程では無かったっていう話は聞こえて来てますが、関係ありませんし、知らないふりすればいいだけです


「サラは今神殿で祈りを捧げている、この国を守る祝福の光が弱まらないように」


国の為に祈りを捧げる聖女、その横で彼女を支える王太子

確かに庶民受けのする構図ですわね

かと言って、お腹が膨らむわけじゃありませんけどね

庶民となったからには食べ物の確保が最優先ですわ


「私も持てるものの義務として毎晩神に祈りを捧げていたのですよ。知ってましたか?今は庶民となったので民のために神に祈るのはやめてますけど」


一度話した事があった筈だけど?

あの時は確か?

そうそう『力もない者の祈りなど無駄だ』その一言のもとに捨てられたのでしたわね


「事前に分かっていればサラを聖女と確定する前に聖女選定の儀式をやり直しする事も出来たかもしれないのに!」


こちらを向いて叫ぶスタインに首を傾げて不思議そうな顔を見せる


「あら?私の力が強いって保証はございませんよ?聖女様の力は特別、代わりになる者など居ませんよ。安心してください!」


うん、太鼓判を押してあげる

というか、こちらに面倒事を押し付けないで頂きたい

でも、私のこの力、魔法と呼んで良いのでしょうか?


この世界では誰も彼も何らかの魔法を使える

例えば火だったり、水だったり

木に火を付ける、水を出して消化する、光を出して部屋を明るくする

庶民であっても幼き頃からいくつかの魔法を使えるのが当たり前、ですが私は使えなかった


使える魔法の難しさに応じて、使える年齢が高くなる傾向があるので、高位貴族である私が魔法を使えないのは、いずれ使えるようになるであろう魔法が高位魔法に違い無いと両親含む他の皆さん全員思っていました

ええ、私もそう思っていましたよ


私がそれを発動したのは教科書を読んでいた時の事

2-2=0

にひくにはぜろ

『わ』と発音せずに間違えて『は』と呼んでしまいました

恥ずかしいですけど幼き日の事ですから


その時突然、教科書が破裂しました

本当にビリビリに


「はぜろ」


私の口からその単語が出る度に私の目の前にある物が破裂する

何度か試しているうちに、その事に気が付きました


ですが、本来感じるはずの魔力消費の感覚が無いのです

それをお父様に伝えた所

『体内魔力が多すぎて消費してる魔力量を感じないのだろう』

と言われました


色々と試しているうちに目線の先、もしくは指刺す事により破裂させる対象を指定する事が出来ることに気がつきました


ですが、この能力はかなり諸刃の剣なのです

対象物が生き物の場合、もちろん、この場合の生き物とは魔物や獣害を指します

この能力を使うとこちらも被弾するのです

そう、対象の血肉塗れになってしまいます、スプラッターですわ


ですので使う場所、タイミング、威力には念入りに気を使うのです


一番練習したのは威力の強弱

そして指定場所、狙った箇所にドンピシャになるよう

最後にタイミング、タイムラグは命取りになります、発動を意識したらその瞬間に終わる様に


全く他の魔法が使えない私に取ってはこれが唯一の心の支えでありました

ですが、声を大にして他人に言うべき事柄では無いと本能が警告を発していました

唯一の切り札を他人に知られる、これ程の恐怖があるでしょうか?

それからは、お父様にも魔法が使えたのは勘違いだと告げ、魔法の使えない無能な娘としての日々を過ごして参りました


スタイン殿下の婚約者に決められたのはそれからしばらくした時のことでした

8歳を超えても魔法が発動出来ない、もとい、高位魔法が使える可能性の高い貴族子女として顔合わせの機会が設けられました


初めてお会いしたスタイン殿下は生意気盛りの少年でした


「おい、名前は何て言うんだ」


自己紹介もせずに高飛車に喋り


「お前、いまだに魔法が使えないんだってな?魔法ってのはこうやって使うんだよ!」


突然、突風の魔法を使いスカートをめくるスケベ少年、そんな一面もありましたわね

顔見せから帰ると、お父様とお母様が喜んでおり、スタイン殿下との婚約が成立したと教えられました


その後王妃教育が始まり、それと共に内緒の趣味の冒険も始めました

魑魅魍魎の跋扈する王宮にて自分の身を自分で守る、大事なことです

顔面を飛沫した物体から防ぐ防具『特製の仮面』を用意して魔獣退治へ


そして色々な事を学びました

まず、全部を爆散させてはダメ、可食部分がなくなります。さらに返り血でこちらの被害も甚大に

それから、心臓や頭をピンポイントで狙い撃ちにしても、彼らは直ぐに動きが止まらないので危険です

近接戦闘の時はまず手足を奪って動かなくする事、これは大事な事です、試験にでますわよ


あとは、爆散させるのは内部も指定出来るという事もわかりました

例えば硬い甲羅で身を守っている亀が居たとして、その柔らかい中身を指定してやれば、あら素敵、殻が爆散から血肉の飛散を保護してくれます

立ち位置を間違え頭の先などにいると、全てが噴射してくるので危険ですが、それはそれですの


指定出来るのは目視範囲

距離による威力低下なし

魔力消費の感覚なし

指定不可対象なし


どこからどうみてもチートな能力に

調子に乗って魔王退治に向かった私は悪くないと思います

正直、今思い返すと調子に乗り過ぎたかな?とは思いますけど、反省はしませんよ


王妃教育が1週間ほど休みになるという春休みに魔王退治に向かいました


道中で「はぜろ」と口に出さなくても、念じた瞬間に相手が破裂している事に気付きましたけど、それが何か?


結果だけ言うと、無事に魔王を倒す事が出来ました

まあ、色々とあったのですが話すほどの事も、あったような?無かったような?

ま、記憶にも残らないような些末な事ならどうでも良いですね


魔王退治で手に入れた装備品に『遠見の指輪』という物がありました

これは身につける事によりいつでも念じた相手の行動が判るようになるという代物です

危険過ぎですね、スタイン殿下の浮気も直ぐに判明いたしましたよ


どうやら浮気ついでに乗換え、婚約破棄も計画している様子

返り討ちにするのは簡単ですが腐っても王族、後々の面倒ごとしか頭に浮かびません


婚約破棄後は牢屋に幽閉されるそうですし、牢屋から抜け出すのが一番簡単だと判断しました


しかし、あれですよね?

王妃教育と趣味の魔物退治で学園なんて行く暇もなくて、実際に行ってないのですが、どうやって魔法学園で聖女様を虐める事が出来るのでしょうか?

おっしゃってる意味がわかりませんでした


いやまあ確かに、移動の魔法でも使える方なら可能でしょうが、貴重な趣味の時間をわざわざ裂くほどの価値があるとも思えませんよ?

第一、スタイン殿下と私の間に恋愛感情はありませんよね?


というわけで、いわれもなき断罪を受け、貴族籍からの追放の上、婚約破棄をされて見事に牢屋に幽閉される身となりました

断罪劇の最中にスタイン殿下の横でニヤニヤとしている聖女様の姿に少しだけ腹が立ったので聖女様のヒールの踵を爆ぜたのは内緒、しかも両方

ローヒールな聖女様もなかなか絵になりましてよ、チンチクリンで、おほほほほ


しばらく牢屋でじっとしていようと思ったのですが、どうやら囚われの身というのは性に合わないのか退屈なので、その日のうちに退散する事に決めました


壁から出るか、堂々と扉から出るか

それが問題だ?何が?

あ、音の問題ね

対魔法結界?それに関しては魔王戦で判明しているの。この能力は魔法封じでは対応出来ないみたい

対魔法防御に特化してた魔王の身体が簡単に飛散しましたもの、魔王本人も驚いた顔をしていましたよ、いえ本当に


悪い事をした記憶はないので堂々と扉から出る事にして、扉を破壊、破壊、破壊

あ、鍵の部分ね

か弱き乙女にとっては動かすのに少し重い扉もありましたが、そこは気合と根性で乗り切りましたよ


最後の扉を破壊している時にスタイン殿下に見つかったのは拙かったですね

そのまま逃げ出したのですが、追いかけられて冒頭部分に戻ります


「私は聖女でもなければ、聖女になる気もございません」


「それでも君は僕の婚約者であった、魔法さえ使えれば聖女の選定儀式に参加する資格はあったのだ」


「そうですわね、ですが過去の話ですわ。本当の事を言わせて頂くと、聖女にも王妃にもなりたくなんてありませんわ。濡れ衣とはいえ、王妃教育から解放してくださり、さらに市民としての地位を与えて下さり感謝していますわ。ありがとうございました、スタイン殿下」


「そんなにも君は」


「ええ、お飾りの婚約者よりも真実の愛を見つけられた殿下に祝福がありますようにお祈りしておりますわ。ではご機嫌よう、さようなら」


踵を返して門を目指す。門まで行けばこっちのもの、顔見知りの衛兵ならいくらでも誤魔化しが効きます


「今度、魔王を倒しに旅立つ!魔王さえ居なくなれば祝福の光が無くとも魔族、魔獣を恐れて暮らさなくてもよい世の中になるはずだ!!そうなれば」


「魔王?まだ居るの?それとも別の魔王?」


「えっ!?」


「ちなみに、その魔王には懸賞金掛かっていませんか?掛かっているなら幾らですか?掛かっていないなら王家が懸賞金を掛けて下さいませ!」


「ええ!?」


「名前と特徴と、何処にいるか、討伐部位はどこか、知っていたら教えてださいますか?」


あら、はしたない。興奮し過ぎてスタイン殿下を締め上げるところでしたわ、うっかりさんですわね


「確か、名はバトラ。虎系の獣人からの進化で魔王の居城に居る。懸賞金は金貨100万枚、討伐部位は牙」


「おほほほほ、ご飯ゲットでございますわ!では殿下、ご機嫌よう」


私は風のような駆ける。美味しいご飯を食べる為に

これから魔王城の事を、魔王ホイホイと呼ぼうかしら?それともご飯の友?

魔王城への最短ルートなら目を瞑っても思い出されます、あれ?往復でも5日掛かりますわね、、、、、私のご飯、、、



--------



そうですわ!


思いついた時は良いアイデアだと思ったのです。今は少しだけ後悔しています。私のご飯、、、


『遠見の指輪』で確認して、そのまま炸裂してもらう、着眼点は良かったのですが、狙った場所が悪かったようです

魔王を確認した瞬間に、その目つきが悪かったのでそのまま頭部を炸裂させました


当然のように討伐部位の牙ごと飛散します。私のご飯、、、


だけども、諦めたらそこでお終いです。私は諦めませんよ

頭部以外は残っているので魔王の虎皮を提出して討伐の証の代わりといたしましょう


魔王城への道中では大した事も起こりませんでした

道なき道なので、少々手を加えましたが大した事ではありません

大人二人並んで通れる幅で見通しの良い通路を付けた位です

これから何度も通う事を考えれば交通の便を良くしておくのは当然の事ですね

多分、またすぐに次の魔王を名乗る者が現れるでしょうから



--------



「おいお前!何者だ!!」


魔王城へ乗り込む前に一休みしている所に後ろから声を掛けられました

振り返ると四人組の男女がいます

こちらに剣を向けて構えている金髪の青年

その背後に女魔術師と女僧侶、女武闘家。いわゆるハーレムパーティですね


「何者と言われましても、ただの庶民ですわ」


「ただの庶民が魔王の居城に何の用事があるというのだ!」


『レオン!この小娘、ただの小娘にしては肝が座っているよ』


金髪青年が持つ剣が喋りました。魔剣というやつでしょうか?


「ご飯の、、、いえ、こちらに少し所用がありまして。そういう貴方達はどうしてここに?」


「決まっているだろ!俺たち勇者パーティは魔王討伐に来たのだ!!」


『レオン!この小娘は魔族が化けている可能性も有る、油断しちゃダメだよ!』


小娘、小娘と口の悪い剣は魔剣ではなくて聖剣?それにしては口が悪いですね


「魔王討伐ですか?魔王は既にいないはずですが?」


「そんなに話は知らない。仮にもしそうだとしても確認する必要がある」


『レオン!この小娘、きっと魔族だよ、この場でやっつけちゃおうよ!』


いやに好戦的な剣ですね

場に緊張感が走る。すでに金髪青年の背後では魔術師が呪文を唱え始めていた

さらに武闘家は身を屈め、いつでも飛び出せるように準備を済ませていた


「反撃しますわよ?」


一応、警告はしてあげます。庶民相手に複数人による先制攻撃とか、今までの生き様が想像出来ますよ、クズですね


「「「「なっ!?」」」」


取り敢えず、口の悪い剣を半分に折る

そのまま、金髪青年背後の魔術師、僧侶が手に持つ杖を破砕。武闘家は右足首を粉砕


「早く治療してあげないの?」


武闘家を指差し治療を促がす

僧侶が慌てて武闘家の治療を始めた


「馬鹿な!聖剣クシャナが折れるなんて!俺たちは勇者パーティだぞ」


「勇者と言うよりも野盗にしかに見えないけれども?」


軽蔑の眼差しを差し上げるわ、もちろん大盤振る舞いで


「その剣、まだ喋れるのでしょ?本当に聖剣なの?発想がゲスなんだけど」


『なんだと、小娘が』


パリン!

さらに刀身が短くなる


「初対面の人間を小娘扱いとか口の利き方を習わなかったのかしら?」


『調子に乗るなよ、こむ』


パリン!

ついには刀身が無くなる


「どうやらその剣は貴方達に悪影響しか与えて無かったみたいだわね。いらないでしょ?」


にこりと微笑む

天使の笑顔の大盤振る舞い、今回だけね


「聖剣なしでどうやって魔王を倒せば、、、」


「レオン!お前は私が守る」

「レオン様!ミレーヌも居ます」

「勇者様!貴方の側には私も」


女性陣三人が金髪青年を囲み励まします

うーん。女三人に囲まれた男一人、絵面的にどうなんでしょうね?


「じゃあ、先を急ぐので失礼しますわ」


慰謝料を貰いたい所ですが、関わるなと本能が告げています。大事です直感!


「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」


待てと言われて待つようなら、今頃大人しく王妃教育を受けていますわ、おほほほほ

冗談はよしこちゃん


取り敢えず魔王城の城門をくぐった後に城門閉めて鍵を壊しておきます

魔王城に追って来るにしてもいくらか時間が稼げるでしょう


--------


無いですね?

これだけ入念に調べても見つからないのならば、やはり一緒に爆散してしまったという事ですね。残念です

爆散した血痕とその中心部に残る虎皮、もとい、虎系魔王の遺体。体長5mは越えようかという巨大な躯、これを剥ぐのは一苦労ですね

やれやれと肩を私は肩をすくめた瞬間、背後の扉が開きました


「魔王!俺が相手だ!!」


金髪のレオン?だか、レモン?だったか、と名乗る男が叫びながら広間に飛び込んできました

ノックくらいすればよろしいのに。ね?

後ろからはぞろぞろと取り巻きが現れます


「えっ!死んでる?」


「お前が倒したのか?」


聞かれたのならば、答えてあげるのが世の情け


「そうです、私が」


「そんなはずがないです!見下さいて、血痕が乾いています!それに躯の痛み具合から見て死後二、三日は経ってるはずです!」


女僧侶が私の発言を遮って叫びました


「、、、、」


「取り敢えず、魔王は倒されました!急いで帰って国に報告しましょう!」


「そうだな、魔王の脅威は去った!」


「これもレオンのおかげですね!」


「えっ?」


「流石はレオン、救国の英雄だな!」


「ええっ?」


「討伐の証に何を持って帰る?」


「えええっ??」


おかしいとは思っていましたが、やっぱりこの集団は頭がおかしい子の集まりみたいです

後からやって来て、平然と自らの手柄にする算段を始めるとか頭痛くなります


「ちょっといいですか?」


「何ですか、このブス!馴れ馴れしくレオン様に話しかけないでよ!!」

「おっと、暴力女はレオンに近づくな!」

「勇者様は私が守る」


釘を刺そうと話しかけたのですが、どうやら話の通じない人種だった様です。色ボケ、という病に罹っているのでしょう、可哀想に


「人の獲物を横取りするのは感心しませんわ。やはり貴方達は盗賊の類の様ですわね?」


「何だと!勇者である俺に向かって生意気な」


前回とは別の、どうやら魔王城内で拾った様ですね、剣を振り上げて襲い掛かって来ました


どうやら自覚ないようです

何度か同様な事を行なっているのでしょうね、やけに手慣れすぎています


襲い掛かってくる金髪男の両手首を剣ごと爆散させ、その背後で呪文を唱えている僧侶と魔術師の舌を吹き飛ばし、後ろに回り込んで蹴りを放とうとする武闘家の両足を膝の部分で爆ぜ飛ばします


ナイスキャス!

武闘家の両足をそのまま受け止めると、自称勇者の方に振り返ります


「はい!」


武闘家の脚をそのまま放り投げます

反射的に受け取ろうとした瞬間にその脚を爆散させました。するとどうでしょう?


「!?」


見事に自称勇者の顔面は血肉塗れに変わりました

よっ!血と鼻水も滴るいい男!!残念ながら私のタイプではございませんけど


「貴様が魔王か!!」


「あら?淑女に対して失礼ではありませんか?」


「なら、なぜこんな酷い事をするのだ!!」


「はて?酷い事?私が狩った獲物を横取りしようとしたのではなくて?」


「横取りなど!魔王が死んでいたから国に報告を」


「そこで何故、魔王討伐が貴方達の手柄になるのかしら?」


「俺達は勇者パーティだぞ!!」


「だから、虚偽の報告をしても良いと?」


「違う!だが、どこの誰だかわからぬ者が魔王を倒したと報告するよりも、勇者が倒したと報告する方が民衆も安心するはずだ」


「えっと?では貴方達の目の前にいる私をどこの誰だかもわからぬ者だと仰られるのですね?」


軽蔑の眼差しで自称勇者を見つめる

これは話の通じない頭のおかしい人、平常心、平常心、ファイト私!


「実際にお前が魔王を倒したという証拠などどこにも無いではないか!!」


「あら?不思議な事を仰られる」


「なっ!?」


「今の貴方達の状態と魔王の躯、似ているとは思いませんか?」


「ぶぅ!ぶぅ!」

「ふがぁ!ふがぁ!」

「私の脚が!私の脚が!」


床に這いつくばる三人

一人は失くした脚を探す様に、二人は口を押さえている

その傍らに、頭部の無い魔王の躯が飛散した血肉の中心に横たわっている

全ては爆散による結果


「改めて、彼女達で再現してみましょうか?」


視線で魔王の躯を指し示す


「それとも貴方が身をもって体感してみますか?それでは足りなかった様ですわね」


今はもう存在しない自称勇者の手元を見ます、ジロジロと、容赦無く


「くっ!何が目的だ」


「えっ?」


「だから何が目的なんだ!勇者パーティを襲うとか普通の人間のはずがない!」


「ええっ!?」


目が点になりました。お目目どこ?


「貴方達は私が魔王を倒した後に偶然魔王城にたどり着いた、ただそれだけの人達ですわ。倒すべき魔王が既に倒されてしまっているのですから、そのまま素直に国に帰っていただきたいですわね」


「しかし、我々には魔王を倒すという使命が!」


「次に現れる魔王を私より先に倒せばいいだけの話ですよね?」


「えっ?」


「違いますか?」


「次の魔王が現れる、だと?」


「ええ、多分。この魔王も前回の魔王を倒してから半年も経たずに現れましたわ」


「えっ?」



--------



慰謝料代わりとしてクズ四人に魔王の躯を運搬させる事で無事に報奨金をいただけました


一時はどうなる事かと思いましたが、諦めなければ夢は叶うのです、美味しいご飯!!

お腹一杯、胸一杯、また胸が一回り大きくなってしまいました


呆れたのは王家の怠慢

魔王討伐など不可能だと報奨金を用意していませんでした

スタイン殿下経由で圧力を掛けて支払わせましたが、十回の分割払いだそうです

取り立ては一括、支払いは分割、権力者って都合良くルールを変更できて羨ましいですね、本当に


王家へ報奨金の取り立てに行くたびにスタイン殿下と顔を合わせなければならないのです


スタイン殿下は聖女様と仲良くしてれば良いのに、まだこちらに未練のある様な態度を見せますの


残りの報奨金は諦めて他の街に移住するか、もっぱらの悩みですわ

どうしましょう?

[作者からのお願い]

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評価はご自由に、お任せします

よろしくお願いします




[主人公の名前募集中]

主人公、名無しは可哀想だという方は名付けてあげて下さい

よろしくお願いします



あらすじを書いてて主人公が名無しの権平だと気が付いた作者(〃ω〃)


誤字脱字報告ありがとうございます、助かります

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い! テンポ良い! そして主人公があまりにもイイ性格! [気になる点] 魔王とはいったいなんだったのか……。 あと読みやすさのために、文末には句点(。)が欲しかったかも。 [一言]…
2020/07/03 06:35 通りすがり
[一言] 爆発させるお嬢様なので、「フレア」さんはいかがでしょうか?
[一言] 汝、今よりこの名を名乗るがよい。   「お花畑爆裂淑女『ロイヤルボンバーちゃん』」
感想一覧
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