第九章 鳳凰襲撃
「≪シーレット≫!」
グリーズデラブレーが地を蹴るより数瞬早くソウルとレイアーズは動いていた。
その刹那の時間差が無ければグリーズデラブレーの角はクライスの胸を貫いていただろう。
先程と同様、グリーズデラブレーはソウルの≪シーレット≫を軽々と打ち壊したが、その一瞬でレイアーズがクライスとハリアを纏めてその場から突き飛ばしてグリーズデラブレーの突進の軌道から遠ざけ、自身も回転する要領で脱出した。
「もう一発撃ち込んでやる・・・」
「おいソウル!それは・・・」
レイアーズがソウルの行動を止めようとしたが、ソウルは既に魔力を練り込み終わっていた。
「≪ボルティカ・・・あ、グッ!・・・」
しかし、突如としてソウルは頭を抱えて蹲る。
それを隙と見てか、グリーズデラブレーはその鋭い角を蹲ったまま動かないソウルに向けた。
「おいソウル!」
レイアーズが叫んで注意を促すも、ソウルは頭を抱えたままその場から動かない。
−ブギャァァアアア!!−
やがてグリーズデラブレーはその眼にも止まらぬ突進でソウルを串刺しにすべく駆け出した。
「ソウル!!」
「あ・・・ぐ・・・」
痛みが大き過ぎるのか、なおも動かないソウルにレイアーズの悲痛な叫びが投げ掛けられるが、なおもソウルはその場から動かない、いや、動けない。
やがて、グリーズデラブレーの角がソウルの体を貫・・・
「だから家で大人しくしていろと言ったのだ。」
かなかなった。
−ブギャァオ!−
グリーズデラブレーの角がソウルを貫くその瞬間、横からグリーズデラブレーの突進以上の速度で何かがグリーズデラブレーに突っ込み、その巨体を大きく吹き飛ばした。
「フィル・・・」
「余計な事は喋るな。」
するとフィルはソウルの額に手を置いて、軽く目を閉じて深呼吸をするとカッと見開いた。
−パカァン!−
ソウルも聞き慣れて来た風の弾ける音が周囲に轟き、そしてソウルは頭の痛みが無くなるのを感じた。
「零顕で消せるのは何も物理的な物だけではない。所謂鎮痛だ。根本が解決したわけではない。分かったら大人しくそこに座っていろ。」
ソウルに二の句を継がせぬ勢いでフィルは言葉を並べたて、ソウルの肩を強く押してその場に座らせた。
「ふぃ・・・フィルゥ?」
「あの・・・」
「倒したの?」
フィルが吹き飛ばしたグリーズデラブレーの方を見ながら、クライスとハリア、そしてレイアーズもフィルの周りに集まって来た。
「この程度で死ぬほどグリーズデラブレーは軟弱ではない・・・お前らよくグリーズデラブレー相手に生きていられたものだ。」
「いや、一回倒したんだがね。」
軽口を叩くようにレイアーズが言うと、フィルの表情が軽い驚愕と共に疑惑のそれに変わる。
「この私を馬鹿にしているのか?お前らがグリーズデラブレーを倒しただと?ならば何故こいつは生きている?」
「黒髪の変な男がよく分からない魔法で蘇らさせたのよ。」
ハリアがそう言った瞬間、フィルの表情が露骨なまでに驚愕の色に染まった。
「蘇らせた・・・だと?そいつ・・・なんて名乗った!?」
「確か・・・ジェシェル=カリフィス・・・だったと思う。」
詰問するようなフィルの口調に若干戸惑いながらも、クライスが記憶を頼りに言葉を紡いだ。
「カリフィス・・・やはり何か関係が・・・」
「どうした?」
「お前は黙っていろ。」
「・・・」
思案顔になったフィルにソウルが声を掛けるも、それはフィルによって一蹴された。
−ブギャァァアアア!!−
そしてその時、巻き上げられた砂塵の向こうからグリーズデラブレーの咆哮が轟き、そしてその巨体が速力をもって突っ込んできた。
「な!」
「やはりまだ・・・」
ハリアが驚き、すぐにソウルが立ち上がって迎撃態勢を取ろうとするも、
「動くな!」
フィルの声でその動きを制される。
−ブギャァァアアア!−
フィルに一声で全員が動くのをやめ、好機とばかりにグリーズデラブレーは突っ込んできたが、その角がフィルの突き出した左手に触れる瞬間、急にピタリと動きを止めた。
何か見えない壁がそこにあるように、グリーズデラブレーはそこから前に進む事が出来ない。
「おいおい・・・ソウルの≪シーレット≫だって止まらなかったのに・・・」
「零顕をそんな陳腐なものと一緒にするな。」
レイアーズを始め、クライスもハリアもフィルがアッサリとグリーズデラブレーの突進を止めた事に驚いていたが、ソウルだけは冷静にフィルの魔力の流れを見極めていた。
「(やはり魔力の奔流を感じない・・・ということは、ジェシェルがグリーズデラブレーを甦らしたのも・・・零顕か?)」
一通り落ち着いたらフィルに尋ねてみようとソウルは心に決め、今は大人しく体を休める事にした。
「獣風情が・・・」
フィルは憎々しげにそう呟き、左手をそのままに右手を大きく上から下へ円を描くように振り抜く。
その右手の動きに合わせるようにグリーズデラブレーはクルリと一回転し、滑稽なまでに無様に背中を地面に着いた。
「凄い・・・」
ミェナイツェの時もフィルの凄さは見ていたはずなのに、クライスは改めてその凄さを見せつけられて嘆息の言葉を呟いた。
「・・・ハァッ!!」
−パカァン!−
引っ繰り返ったグリーズデラブレーの腹部にフィルは掌を当て、力を込める動作をした後、文字通りグリーズデラブレーの腹部が吹き飛んだ。
「あのグリーズデラブレーをいともアッサリと・・・」
レイアーズは何とも言い難い様な引き攣った笑みを浮かべて呟いた。
「さて、片付けるぞ。」
レイアーズの驚愕の言葉がよほど心地良かったのか、フィルは機嫌良さ気に振り向いてそう言ったのだった。
☆
「復活させた意味なかったですね。」
「まったくだ。」
ストラートの町が一望できる丘の上、黒髪の男女二人は気配を消しつつ町の様子を窺っていた。
自らが仕組んだグリーズデラブレーの襲撃をアッサリと退けられたと言うのに、二人の雰囲気はまるで世間話でもするような軽いそれである。
失っても痛くも痒くもないゴミを失った様な、切り捨てたとも表現し難いほどに冷たく笑っていた。
「あれは魔法じゃない・・・秘法か・・・」
「私達と同じ・・・な。」
それより、と黒髪の男の方、ジェシェルは口を開き、その言葉に女の方、クレアも憎々しげに相槌を打つ。
「それにしても、秘法だってあんなことが出来るのは俺達の≪零砕≫か・・・それとも≪零顕≫か・・・」
「零顕は無いな。零顕の最後の使い手だったアレイク=ラズローは三年前に死んだと聞いている。弟子がいたという情報も無い。」
魔法を発動するための魔力を零力に変えなくては発動できない特殊な魔法、通称『秘法』。
学べば誰でも使える魔法とは違い、零力の扱いは先天的にしか習得できない。
故に、秘法師は魔法師と比べて圧倒的に絶対数が少なく、世間的にはその存在を認知されていない。
「だとしたら、やはり零砕ですかね・・・それとも、俺の知らない別の秘法でしょうか?」
「それは知らん。些細な問題だ。あの秘法が何であるかなどな。」
ジェシェルの投げかけた疑問をクレアは一蹴。
それよりも、とクレアは続ける。
「そちらは抜かりないだろうな?」
「どうでしょうね。相手はかの『鳳凰の飛翔師』ですから。あの二人でも簡単には出し抜けないかも知れません。もっとも、正面突破ならむしろ楽でしょうが。」
クレアの含みのある物言いに、ジェシェルは凄みこそ無いが氷よりも冷たい笑みで返した。
「そうか。」
そしてクレアもそれに対して邪悪で醜悪な笑みをもって返す。
「どうします?」
「私達も行くぞ。あの老い耄れなど私に掛れば物の数ではない。」
ジェシェルの目的語を省いた問いに、それでもクレアは当然とばかりに答えを示す。
「そうですね。では行きましょう。我が愛しき姉上。」
「ああ。本来の目的を果たそう。我が愛しき愚弟よ。」
二人のどちらかとなく醜悪に表情を歪めながら、ジェシェルとクレアはその丘の上から一瞬で姿を消した。
☆
「先程からずっとここにおったの?何者じゃ。」
グリーズデラブレーがフィルによって倒されたのを窓から見届けたルウォーズは安心して軽く表情を緩めてから、再び引き締め直して部屋の中にずっとあった気配へ向けて言葉を発す。
その気配はソウル達が部屋に来る前からずっとルウォーズは感じていたのだが、あえて無視した。
理由としては、当然気配を隠してこの部屋に潜んでいる理由を探るため。
そして、放置しつつ自分がこの場に残る事で行動を牽制しようという考えだ。
「・・・」
しかし、部屋の中の気配がルウォーズの言葉に答える様子は無い。
つまらぬとばかりにルウォーズは溜息をつき、そして、
−カツン−
扉の方で石が落ちるような物音がした。
ルウォーズは反射的にそちらを振り向き、そしてそこに何もない事を目で確認する。
「細工も仕掛けも一流。じゃが、手腕が二流じゃな。」
後一ミリも満たない距離で、ルウォーズを刺し貫こうとしていたナイフはルウォーズの背中から生えたもう一本の手によって掴まれて阻まれていた。
否、それは腕ではない。
ルウォーズの背中から生えた腕に似たそれは、背中に向けられて投擲されたナイフを包み込んで燃やし尽くし、炎が燃え上がるように膨張して片翼を形成する。
「そこじゃな?」
老獪な鋭い目線が部屋の一角に突き刺さり、ルウォーズはそこへ年季のある深い皺の刻まれた掌を向けた。
途端、背中の炎の片翼から光線とも言える鋭い炎の弾丸が跳び込み、その一角を粉砕する。
「うおっと!」
その弾丸が並大抵の威力で無いことを理解したのか、炎が到達する寸前にその場から一人の男が飛び出てきた。
「ハハ・・・俺の≪ストリクト≫をアッサリとまあ・・・」
単純で陳腐な手ではあるが、相手が達人であればある程に小さな物音にでも反応し、そこに隙を作る。
対象者が最も気にし易い物音を対象を中心として自分と対角の場所に起こさせる幻聴の罠と呼ばれる下位魔法≪ストリクト≫だ。
「老いても、この『鳳凰の飛翔師』はまだまだ若造には負けん。」
くすんだような赤銅色の髪をした年配者を敬わない話し方をする男にルウォーズは毅然と胸を張って言い放つ。
「戯言は良いっすよ。≪スティルレクト≫は見破られなかったし。」
しかし男は軽く流しながら、ルウォーズの背後を指差して言う。
「何!?」
気付けば、ルウォーズの後頭部に刃らしき堅い物が押し付けられていた。
そのために振り向く事は出来なかったが、ルウォーズは息使いの雰囲気から背後にいる者も男であろうと判断した。
人間や物質といったありとあらゆる物の存在感を隠匿し、視認や感知を不可能とさせる上位魔法≪スティルレクト≫。
防衛機能の優れている場所へ進入するには不可欠な魔法であり、侵入された場合はまずこの魔法の存在を疑えと言われるほどに知れ渡っている魔法であると言うのに、その警戒を怠っていた自分自身をルウォーズは呪った。
「つうわけで、死んでくれ。出来ればあの二人が来る前に≪鋼仙の死玉≫も見つけちゃいたいんで。」
「なぜ・・・それを・・・」
詰みだと納得し、自らの死期だと半ば諦めたルウォーズだったが、その言葉を聞いてやはりこのまま死ぬわけにはいかないと思い直す。
「その名を聞かされては諦めるわけにはいかんのぅ。」
そう呟き、ルウォーズは背中の片翼を繰って自分自身を包み込んだ。
ルウォーズの後頭部に刃を押しつけていた男は危機を察知して既に離れている。
やがて炎の翼は収縮し、パァンと弾けて片翼の残滓の炎が勢いよく部屋のあちこちに飛び散る。
それそのものに大きな攻撃力は無い。
だが、部屋に飛び散ったその炎は肥大化して人の形を成し、それに色が伴って十人余りのルウォーズを形作る。
しかも、それぞれのルウォーズの背中には先程までの片翼の代わりに、一対の鮮やかな炎の両翼が広がっていた。
『鳳凰の飛翔師』ルウォーズ=センテリウスの真骨頂、全て偽物であり全て本物である炎の擬態の上位魔法≪ファルセルス≫だ。
「もしかして、また俺余計な事言った?」
「まったくだ。こうなったら俺たちじゃ勝てんかも知れんぞ・・・」
しかし、本気を出したルウォーズを相手にしても、二人の男は全く臆さず、むしろ飄々とした口調で言葉を交わす。
簡単なミスをした程度にしか思っていない様な軽い口調で話す赤銅色の髪をした男を、先程ルウォーズの後頭部へ刃を押しつけていた群青の髪をした男が窘めるが、その実、ルウォーズのことなど全く眼中にない事は一目瞭然である。
「本来の役目は足止めなんでね。ま、適当に頑張りつつ死んでくれ。」
「言ってくれるの。」
十人のルウォーズの声は重なり、その言葉を引き金にルウォーズ達は一斉に男達に襲い掛かる。
ある者は上から、ある者は下から、また横から後ろから。
変幻自在に陣形を組み替えて相手を翻弄しながら火殺の一撃で穿つ。
『鳳凰の飛翔師』と呼ばれる所以の、未だかつて破られた事の無いルウォーズの必勝戦術だ。
「おぉ〜凄い凄い。でも、セイルの方がもっと凄いぜ。つうわけで任せた。」
赤銅色の髪をした男は丸投げする様に言い切ってその場に座り込む。
ルウォーズは怪訝に思ったが、それならば隙有りと座り込んだ男に集中して狙いを定める。
「・・・≪シウロスト≫。」
「!!」
赤銅色の男に現状打破を任された群青色の男、セイルは溜息を吐きつつ、溜めておいた魔力を解放する。
瞬間、セイルを中心に巨大で無骨な氷柱が無数に飛び出、全てのルウォーズを串刺しにする。
「俺に任せるなといつも言っているだろう?聞いているのか、キーラ。」
「仕方ねぇだろ?俺、暗殺専門。しかも失敗ときたもんだ。」
その時点でセイルと赤銅色の男、キーラの興味の対象は完全にルウォーズから外れた。
死んだ人間に興味は無いとばかりに、二人はルウォーズの炎の擬態から完全に目線を切った。
勿論、かつてはウレ王国どころか二つ国を挟むヒムリャ公国全土までその名を知れ渡らせた『鳳凰の飛翔師』がその程度で死ぬはずもない。
「まだじゃ!」
貫かれて飛び散った炎の破片は再び肥大化してルウォーズを象り、その数をおよそ二倍に増やす。
割っても砕いてもその命を散らす事の無いルウォーズの≪ファルセルス≫は大凡の人間が考えるよりも遥かに強力だ。
それもまた、≪ファルセルス≫が破られた事の無い最強を誇る理由の一つでもあるのだ。
「まだって言われてもねぇ・・・なあセイル?」
「そうだな。終わってしまえば、興味は無い。」
力を出し尽くしたわけではないし、まだ余裕で戦えると意気込むルウォーズに二人からの容赦のない冷たい言葉が浴びせられる。
「何じゃと?」
決して奪われるわけにはいかない≪鋼仙の死玉≫を守るため、ルウォーズはここでこの二人に負けるわけにはいかない。
だがしかし、二人の言う既に終わったとはどういうことかをルウォーズは考える。
「分からないのか?分からないよな、耄碌爺。」
「足止めは終わった。」
ルウォーズはその言葉を最後まで聞きはしなかった。
唐突に背後に猛烈な殺気を感じ、ルウォーズは生命の危機を感じて咄嗟に防御姿勢に入ったからだ。
だがしかし、それでも二十人程度のルウォーズの内の半分ほどの首から上が一瞬で吹き飛び、そのまま蘇生する事無く霧散した。
残りは十人余り。
「なぜ・・・じゃ・・・」
今まで、どんな強大な一撃を喰らってもこの≪ファルセルス≫の炎の擬態が消え去ったことなど無かった。
しかし、どう魔力を注ぎ込んでも、消え去った部分からルウォーズの魔力が抜け、そして消える。
気付けば、残りのルウォーズはたった三人になっていた。
「さて、死ぬ前に≪鋼仙の死玉≫の在り処を教えていただけますか?」
「言えんのぅ。」
窓枠から降り立つようにルウォーズに相対しているのは一組の男女。
共に珍しい黒髪で、女の方は病的なまでに白い肌をしているが、男の方は黒くくすんだ肌の色をしている。
その二人の内の男の方が丁寧な口調でルウォーズに問うてくるが、それにルウォーズが答えられる筈も無い。
「・・・」
「な、何じゃ・・・」
女は無言の圧力をもってルウォーズを睨みつけて来る。
あまりに感情の籠らない機械的で冷徹な瞳に思わずルウォーズは臆し、しかし再び自らに喝を入れた。
「理由は知らんが≪鋼仙の死玉≫は渡せん!」
三人のルウォーズは背中の両翼を大きく広げ、掌をもって照準を定める。
「3」
「2」
「1」
「「「射撃!」」」
ルウォーズが誇る≪ファルセルス≫の、その最後の一撃。
背に広げた両翼に全身全霊の魔力を注ぎ込み、対象を熱と速さの威力で貫く火殺。
それを≪ファルセルス≫の炎の擬態全員で対象を打ち抜く。
故に逃げ場無し、回避不可、防御など論外。
たった三人であるが、一つの翼から一つの光線、計六本で狙えば流石に回避できないだろうとルウォーズは敵方の戦力を分析していた。
「綺麗な魔力の奔流です。淀みがなく、美しい。長い年月の鍛錬を彷彿とさせますよ。」
それでもなお、黒髪の男は全く臆した様子も無く、余裕と言った感じで言葉を紡いだ。
その言葉が妙に癇に障り、ルウォーズは全ての攻撃の意思をその男へ集中させた。
「相変わらず、ジェシェルの≪ティール≫はえげつないっすね・・・」
「可能な限り、あの姉弟とは対立しない方針で動く。」
背後のセイルとキーラの言葉ももうルウォーズには届かず、ルウォーズの頭の中はジェシェルへの攻撃の意思で一杯になっていた。
「・・・児戯だ。」
女が口を開いた様な気がした。
「何じゃと?」
数時間後、グリーズデラブレー討伐の報告に訪れたソウル達が見たのは、災害にでもあったかのように荒らされた校長室と、ナイフで胸を穿たれたルウォーズの死体であった。