第十一章 ウレの国王
「代表者一名、前に出よ。」
静かに、しかし重くオールグイユは言い放った。
頭上には王の象徴たる金に装飾された王冠を乗せ、服装は朱色を基本に正面で黒色が交差し、見苦しくない程度に青や緑といった色で鮮やかに彩られたウレ王国の王家に古くより伝わる伝統的な衣装。
ソウル達を連れて来た後どこかへ消えたと思っていたカイとバルアはそのオールグイユが座っている玉座の両脇に背筋を正して侍り立っていた。
「・・・じゃあ僕が・・・」
他の四人から視線を集め、一応上級生の男子生徒と言う事でクライスが一歩前に足を踏み出した。
その表情は緊張と恐怖に凝り固まり、絞り出したような声も上擦っていて、手足を見れば微かに震えているのが分かる。
その震える足取りでもクライスは何とか王の御前まで歩みを進め、そこに跪いて頭を下げる。
「名は?」
「・・・クライス=ストルヴェル。」
「そうか、お主が・・・」
クライスが名乗るのを聞いて、オールグイユは興味深そうに顎に手を当てた。
「ゴホン・・・では、我がオールグイユ=ウレ=ダリヴェルンの名において、汝クライス=ストルヴェル及び他四名にグリーズデラブレーを討伐したその栄誉を称え、祝福を与える物とする。」
オールグイユは立ち上がり、一度咳払いをすると、そう口上を述べ手に持った杖をクライスの肩に当てる。
形式上だけではあるが、伝統的な王の祝福の儀式だ。
「諸君等には後程、恩賞として金一封を与える。なぁにそう構えるでない。ほんの私の気持ちだ。」
儀式が終了し、クライスは一礼して台座から降りたところで、急にオールグイユは表情を崩してそう言った。
オールグイユが国王として国民の支持を得ている理由の一つとして、この親しみやすさがある。
けじめを付けるべきところではきっちりとけじめを付け、笑うべきであれば笑う。
厳格さと気安さを合わせて持ち、その切り替えがハッキリしているこの王は信頼できるのだ。
「さて、」
しかしそこで、オールグイユの目がスッと厳しい物に変わる。
その切り替えはまさに一瞬。
ソウル達の緩んだ空気を一瞬で引き締めさせた。
「では、ルウォーズ=センテリウス殺害の件について。」
重苦しく、しかし先程祝福を与えた相手に与えるには少々つらそうな表情で、オールグイユは口を開く。
「違う!俺達はやっていない!」
そこで堪らずレイアーズが声を張り上げた。
ソウルの今までの人生で、まだ二度しか聞いた事のないレイアーズの必死な声だ。
「それは今から国王様が判断する事だ。」
いつの間にか周囲は厳格な兵士たちに囲まれていた。
皆、手に手に武器を構え、罪人が暴れ出してもすぐに取り押さえると言った風体だ。
玉座の両脇に侍り立つカイもバルアも自身の得物に軽く手を触れている。
祝福の穏やかな空気を一瞬で裁判の厳かなそれに変えてしまう。
それこそがオールグイユの国王たる信頼の証でもあるのだ。
「問うぞ。諸君等はルウォーズにグリーズデラブレーの足止めを頼まれた。相違無いか?」
「・・・はい。」
そのオールグイユの問いにはクライスが震える声で答える。
「それは諸君等のみでか?」
「いいえ・・・僕達と先生が三人です。」
クライスの表情は目に見えて青褪めている。
とても緊張だけでここまで表情が青白くなるともソウルには思えなかったのだが、しかしオールグイユの問う声は止まらない。
「その教師三人がいたという報告は受けていないが?」
「・・・グリーズデラブレーに殺されました。」
「そうか。では、その教師三名の名前を言えるかね?」
「コレウス先生、バーグルセス先生、デゥーム先生です。」
「教師が殺された敵を相手に逃げようとは・・・いや、この質問は魔法師である諸君にするには失礼だな。」
「いえ・・・」
魔法師になる際の覚悟の事を言っているのだろう。
『命が奪われる場に立ち会う覚悟』『命が奪われる覚悟』『命を奪う覚悟』の三つの覚悟を決めているはずの魔法師にとって戦略的撤退以外に逃げるという選択肢は有り得ない。
あの場で逃げるという事はストラートの町を見捨てるという事で、その選択肢は魔法師として取るべきでない、取る事は出来ない選択肢だったのだ。
「では、グリーズデラブレー相手に諸君等が生き残れたのは運が良かったと受け取って良いかね?」
「・・・はい。」
「さっきから一体何を訊いているのよ!」
オールグイユが一体どんな目的をもって質問を繰り返しているのかソウルには分からなかった。
それはレイアーズもクライスも、当然ハリアだって同じだろう。
オールグイユが問うてくる質問がルウォーズ殺害とどう繋がるのか理解できない。
その事についに耐えかねたのか、ハリアが声を荒げてオールグイユにそう言葉を叩き付けた。
途端、周りを囲む兵士たちの間に緊張が走り、武器をもつ手に力が入ったのをソウルは見逃さない。
「あぁ、すまない。私の悪い癖だ。」
オールグイユが一瞬だけ表情を緩める。
いきなりの毒気が抜けた表情を向けられ、ハリアはウッと言葉に詰まる。
「では問うが、君達はルウォーズを殺したかね?」
いきなりの核心を突いた問いに、ソウル達は全員言葉を失った。
無論呆れたわけではなく、あまりにもの直接的な問いかけに激しく動揺したのだ。
自分が犯人なわけではないのに思わず認めてしまいそうなほどにスルリとその言葉はソウルの胸の中へ入って来た。
「俺達は・・・やっていない!」
パクパクと口を動かしてはいるが言葉が出なくなっている様子のクライスに変わり、ソウルがオールグイユに向かって答えを告げる。
オールグイユはそのソウルの言葉を受けてしばし思案した後、徐に立ち上がり、そして、
「よろしい!無罪!!」
と、魔法で拡声されてもいないのに体の芯まで響く大きな声で、そう告げた。
「へ?」
気の抜けたような素っ頓狂な声はレイアーズの物。
次に何を問われるかと戦々恐々としていたソウルでさえ、思わず足を踏み外すかと思われるほどに急激に室内の空気が冷えた。
「嘘を吐いておる人間など眼を見れば分かる。」
オールグイユはグリーズデラブレーを討伐した事を祝福した時以上に慈しみに溢れた表情を作った。
その表情は人に無条件の安心感を与える老人のそれで、先程までの厳しい空気を纏った国王の物ではない。
「諸君等五人からは人を殺した空気が感じられぬ。犯人は別にいる。心当たりはあるかね?」
それは国王としてではなくオールグイユという個人としての質問だろう。
その証拠に表情は厳しさの欠片も無い、ただ友を亡くした様な悲しい光だけがその眼に燈っていた。
「ルウォーズは私の旧き友だ。仇を討つとまでは言わぬが、しかし、私という一個人で言わせてもらえばその身を引き裂いてやりたいほどに憎い。必ずや、この手で・・・」
その言葉を聞いて、ソウルは一種の安心を覚える。
国王と言う身近では無さ過ぎる存在を前にして、どこか別の世界の住人であるかのような印象をソウルは持っていたのだ。
「(王とて人だ・・・)」
そんな当たり前の認識を今この時ソウルは初めて感じた。
「その事についてだが、」
「え?」
と、オールグイユの質問に対して誰が予想したであろうフィルが一歩前に出て口を開く。
謁見の間に来てから一度も話さなかったフィルがここに来て初めて声を出した事にソウルは思わずして驚いた。
クライスもハリアもビクッと振り向き、レイアーズに至っては間抜けな声を上げる始末。
「王に進言したい事がある。悪いが席を外してくれ。」
フィルがソウル達に向き直り、どこか申し訳なさそうな表情でそう告げる。
「待ちなさい。一体どういう理由で・・・」
「≪鋼仙の死玉≫」
「!!」
ソウル達に向かって席を外せというフィルを諌める様にオールグイユは声を出しかけたが、直後のフィルの言葉を聞いて、途端に口を噤んだ。
「(なんだ?)」
明らかに部屋の中の空気が変わった。
オールグイユだけでなく、侍り立つカイやバルアにも緊張が走り、体中の筋肉に必要以上の力が入った事が分かる。
「・・・分かった。諸君、下がりたまえ。」
カイとバルアが初めて足を動かし、ソウル達に謁見の間を出るように促す。
「逆らうな」という熱いほどの空気を察し、ソウル達は逆らう事無く謁見の間を後にする。
その場に、フィルだけを残して。
☆
「≪鋼仙の死玉≫・・・では・・・」
「カリフィスだ。」
謁見の間には国王オールグイユとフィルのみが残った。
側近の人間や兵士にもオールグイユが退室を命じたからだ。
「カリフィス・・・その名は終ぞ絶えた物と思っておったが・・・」
「少なくとも二人、カリフィスを名乗った人間がいる。」
フィルはオールグイユに対して一切の敬語を使わない。
オールグイユもそれを承知の上で、特にそれを諌めようとはしない。
「名は訊いたかね?」
「自ら名乗った。クレアと、そしてもう一人ジェシェル。」
「特徴は?」
「どちらも黒髪で容姿は中性的。だが、クレアの方は病的なまでに白い肌であるのに対して、ジェシェルの方はくすんだ肌色だ。最も、ジェシェルの方は又聞きだが。」
「又聞きとは?」
「彼らの前に現れたそうだ。」
「なるほど。して、その印象は?」
「ジェシェルの方は会っていないから分からないが、クレアという女は一対一でもルウォーズを圧倒できるほどの実力を感じた。」
そこでルウォーズは難しい表情をして顎に手を当てる。
「ルグダンの村の話は御存知か?」
考え込んで言葉を発さなくなったオールグイユにフィルはさらに言葉を掛ける。
「確かリー山脈の近くにある村だろう?最近、ミェナイツェによって滅ぼされてしまったと聞いた。報告を聞いたのが滅ぼされた後だったのだ。申し訳ない事をしたと思っておる。」
「その村が壊滅する前にレギオンの『フィレス』が送り込まれていた事は?」
「初めて知った。だとすれば村が滅んだりする筈は・・・」
「ストラートの村には『フィレス』のメンバーは全滅したと報告が入っている。」
「何だと!?」
オールグイユは思わず立ち上がる。
頭に血が上がったように表情に軽く赤味が差している。
「『フィレス』が・・・馬鹿な・・・」
「ということは、その後私達が出向いてミェナイツェを掃討した事も・・・」
「ああ。知らな・・・掃討?」
「ああ。そこにいたミェナイツェは二十頭以上。それも通常より体の大きい異常種。」
「・・・」
もうオールグイユは言葉も出ない様子であった。
自国の領土内で、それもそれほど大きな事件が自らの耳に入っていなかった事に対する驚愕と、知っていれば未然に防げたかもしれない落胆の二つの感情が綯い交ぜになっているようだ。
「そこにあったのはミェナイツェの物だけではありえない明確な悪意の残滓。初めはどういう物か全く分からなかったが、クレアという女が放っていた雰囲気はその悪意に良く似ていた。とすれば、疑うべきはその女、そしてジェシェルという男・・・」
「≪鋼燵なる仙師≫・・・カリフィスの末裔か・・・」
「それはまだ、何とも・・・」
国王の射抜くような視線を前にフィルは明言は避ける。
確証の無い論理とその行きついた答えなど信用出来ない事を知っているからだ。
「では、≪鋼仙の死玉≫は・・・」
「恐らくだが、ルウォーズが殺されたのはそれが目的だ。」
「そうか・・・分かった。良く知らせてくれた。下がって良いぞ。」
「では・・・」
フィルは目線だけで軽く会釈すると謁見の間を後にした。
頭を抱える様に考え込むオールグイユを背後にして。
☆
再び謁見を待っていた時の部屋に通された。
先程と違うのは部屋の中にカイとバルアがいること。
監視されているようで気分が悪かったが、そんな事に文句を言っていられない状況になっている。
クライスが突如倒れたのだ。
もともとクライスは体が弱くて長旅などで疲れるとすぐに倒れてしまう、とはハリアに聞いた話だが、疲れるというのならばグリーズデラブレーとの戦闘でだって相当神経を削った筈。
それも二頭同時召喚などという無茶をして。
しかしそれでも、元気とまではいかないが倒れるという事は無かった。
「クライスは誰かを守るためなら、自分の体力をどれだけ削っても絶対に苦しい顔は見せないようにする人よ。そういう場合は見苦しい所は見せられないっていう意地が勝っちゃうみたいで、大丈夫な事も多いんだけど、でも長旅とかみたいな無為な疲れにとっても弱いの。それも今回はグリーズデラブレーなんかで疲れも溜っていたでしょ?それで・・・」
レイアーズが軽い口調でソウルが思った事を同じような事を訊いた時のハリアの答えだ。
膝枕をしながら、普段の高飛車な態度からは考えられない優しい口調でハリアはそう告げた。
「疑いは晴れた事だし、なぁソウル、ちょいと町を見てこねぇか?」
欠伸を噛み殺しながら茫然と天井を見つめていたレイアーズが、唐突にソウルに提案する。
その時には、ハリアの≪ヒレイト≫によってクライスの顔にもやや健康的な色が戻ってきており、状態も安定していた。
「行きたければ一人で行け。」
「そう言うなよぉ。俺ってストラートより大きい町見たことねぇんだよ。冷たい事言わずに付き合えって。」
冷たく突き放すソウルにレイアーズはしつこく縋りつく。
「待たせたな。」
と、そこへ、扉を開けてフィルが戻って来た。
そして、ソウルとソウルの腰の辺りに縋り付いているレイアーズとに視線を二、三度往復させ、何か得心が言ったように黙り込む。
「・・・いや、取り込み中申し訳ない。」
やがて、全ての状況を理解した上であろうに、ニヤリと表情を歪めて意味深に謝って見せる。
「(意外と心得ている奴だ・・・)」
とは、ソウルの感心。
ソウルは正直な所を言えば、フィルの社交性を疑っていた。
しかし、今の状況を見てフィルが咄嗟に口にした言葉は、場の空気を和やかにさせる、確かな冗談としての役割を担っていた。
「なぁに気にするな。これからがいいとこ・・・」
「いい加減にしろ。」
当然、レイアーズもそれが冗談と分かった上で、否定する事無く、ソウルの背中へ腕を回そうとして、苛立ってきたソウルが肘鉄をレイアーズの頭上に叩き落とした。
レイアーズは「うげっ」とそれも冗談の様な呻き声を出して床に倒れ伏す。
「で?何を話していたんだ?」
「いや、レイアーズが町の見学に行きたいそうだ。」
「一人で行けばいいだろう?」
ソウルと同じ言葉。
しかし、レイアーズに合わせて言葉を発したソウルと違って、素でそう思っている様子だ。
「・・・」
軽く落としただけの肘鉄で意識が飛ぶ事など有り得ないので、倒れ伏したまま無言でいるレイアーズをソウルもフィルも無視している。
「う・・・ん・・・」
「あ!クライス、気付いた?」
「えっと・・・あれ?王の謁見は?」
「記憶が無いの?まったく、これだからクライスは。良いわよ。後で教えてあげる。」
クライスが目を覚まし、先程よりさらに幾分良くなった表情で起き上がる。
ただ、先程の王の謁見の記憶はすっぽりと抜け落ちているようで、今の状況にかなり疑問を感じているらしい。
そんなクライスにハリアは調子を取り戻したように、胸を張りながら高飛車な態度をぶつける。
「うん。ありがと。」
「・・・ええ。」
そんなハリアの性格は全て分かっているとでも言うように、クライスはやんわりとした表情でハリアに礼の言葉を述べる。
そんなことをされてはハリアとしては黙るしかなく、頬を紅潮させながらそっぽを向いて短く呟いた。
「君らさ、これからどうするの?」
クライスとハリアのやり取りが一段落したところで、唐突にバルアが声を掛けて来る。
もっとも、それが真剣に問い掛けているわけではない事は、未だ床に倒れ伏したままのレイアーズを無視している所から分かる。
「それは・・・ストラートの町に帰って・・・」
クライスが自信無さ気に、しかしそれしかないと言った風体で答える。
「言っておくが、帰りの馬車は出ないぞ?」
「え?」
そのバルアの言葉に真っ先に反応したのは床に伏せていたレイアーズだった。
レイアーズは床に手を突くと、その腕の力だけで跳ね起きてバルアに詰め寄った。
「いや、俺、ちゃんとここに来る前に言ったよな?帰りの手段は各自で用意って。」
少なくとも、ソウルの記憶にはない。
「「「「「・・・・・」」」」」
「な、なぁ?カイ?」
ソウル達五人から懐疑的な目を向けられたバルアは冷や汗を垂らしながら、今だ扉の前に立つカイへ逃げるように視線を向ける。
「いや、俺の記憶が正しければ、伝えていない筈だ。」
そして決定的な一言。
バルアは「しまったぁ!」とか言いながら即座に頭を下げる。
「すまん!」
「って事は何!?歩いて帰れって言うの!?冗談じゃないわよ!!」
「ハリア。誰にだって失敗はあるよ。責めたりするのは・・・」
必死にクライスは宥めるが、ハリアの怒りは静まらない。
「馬車で一日掛る様な場所なのよ!文句を言わずにいれるわけないでしょ!?」
「でも・・・」
しかも、ハリアは間違った事を言っているわけではない。
帰りの馬車が無い事を伝え損なったのは間違いなくバルア達の責任であり、ソウル達の誰にも落ち度はない。
故に、間違っていない分クライスはハリアの言葉を明確に否定で出来ない。
しかし心優しいクライスは絶対に自分に落ち度は無くても、他人を責める事は出来ない。
だからクライスには遠回しにハリアに怒りを鎮めてもらう事しかできないのだ。
「それには及ばない。」
やがて、ハリアの怒りがさらに激化するかという絶妙な所でバルアは口を挟む。
「こうなった責任は俺にある。ここは俺の自腹を切ってでも馬車を用意・・・したいところだが、今、持ち合せが無い・・・カイ?」
「残念ながら俺もだ。この前、剣を一本新調したからな。」
レイアーズが「じゃあ駄目じゃん!」とでも言いたげな視線をバルアに向けた。
ソウルとしても、無罪になった安心感を少なからず感じていたというのに、まさかこんな事で帰れなくなるとは思わなかった。
「だったら、仕方ない。あそこへ行くか。」
「そうだな。肩慣らしには丁度良い。」
しかし、バルアもカイも声の様子はまったく困っている雰囲気は無い。
「どこへ行くか知らないけど、そこに行けば帰れるの?」
「そこに行けば帰れるわけではないが、帰るための足掛かりにはなるな。」
ハリアのやや口調を荒げた問いも意に介さずバルアは飄々と答える。
「どこへ行く・・・んですか?」
意を決してクライスが尋ねる。
「「闘技場だ。」」
ウレ王国最強戦士である二人は見事に同じタイミングで同じ言葉を発したのだった。
感想を頂けるととっても嬉しいです。