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出戻り賢者の憂鬱  作者: 猿田彦助
1/2

1☆ここはどこ?わたしは楓?

は、は、初投稿になります!

(……!!!!!…!!!!!)


なにか聞こえる…


(カ…デ…!!シ…リ…!!!)


いや…まだ眠いんだけど…


(カエデ!!モドッテキテ!!!シカッカリッ!!!)


戻るってどこにだよ…仕事にか…仕事…?ん?


バッと目を開けるとキラキラと光る美少女の顔がゆがんで見える。


あ、この光景知ってる。俺、水の中にいるんだ…


そう気が付いた途端鼻の中に水が勢いよく流れ込んできて

鼻の奥がツーンと痛くなるのを感じた。



「…!!!!!ブハッ!!!…死ぬかと思った…ゲホッゲホッ」



急いで上体を起こした俺は鼻に来る痛みと格闘しながらも周りを見渡す。


俺はなぜか小川の中に倒れていた。



「楓!!大丈夫?!突然倒れたから何が起こったのかと思って心配したじゃないの!」



はい、俺の名前は楓、山田楓と申しますがどこのどなたでしょうか…?


口ぶりから前からの知り合いだというのはわかるのだが如何せんこんな美少女とお知り合いになった記憶なんてない。


…ちょっとまて…俺はふと考え水面に映る自分の顔を確認する。



「おぉ……これは…」



水が流れてるせいで確認できない。

ですよね、そうですよね。


ふと手に目をやると小ぎれいな手をしてた。


おやぁ…俺ってとうに60歳になっててシワシワの手をしてたはずなんだけど…


考えても仕方ない…とりあえず目の前にいる美少女に聞いてみればいいか…


よくよく見ると美少女の後ろにも綺麗なお嬢さんとボーイッシュなかわいい女の子がいるではないか。



「あの…お尋ねしたいのですが…どちらさまで?」


「「「は?」」」



そんな3人一緒に「は?」とか言わないで欲しい。

おじいちゃん傷ついちゃう。



「いや、ですから麗しい3人のお嬢様がなんで俺の名前を知ってるのかなって…」



美女3人組が沈黙してる。


なんて言うんだろ、お前はなにを言ってるんだっていうプロ格闘家みたいな顔をしてる。


その内、綺麗なお嬢さんが口を開いた。



「楓様は我々と旅をしている冒険者仲間ですよ?忘れてしまったんですか?」



オーケーオーケー、大体わかった。

まったく分からんけども。


私は山田楓で日本に住むゴクゴク普通のおじいちゃん。


定年で退職をし孫にも囲まれそこそこ幸せな人生を送っていたはず。


なお、ボケてもなかったぞ。たぶんだけど。



「忘れてしまったと言いますか…存じ上げないと言いますか…冒険者仲間というのもいまいち…」



あ、これアレだ。孫が「じいちゃん、これ面白いから読んでみてよ。ラノベって言うだけどね」って

進めてきて読んだ本の内容と状況が同じだ。



「異世界…転生…?」



つい言葉に出てしまった。



「そういえば楓って異世界から来たって言ってたよねー」



ボーイッシュな美少女が微妙な顔で笑いながら言った。


状況は複雑だ。状況を整理してみよう。


まず、ここで目を覚ます前までの俺は山田楓60歳

そして現在の俺も山田楓、年齢は鏡を見ない事にはなんとも…

そして彼女達が知ってる楓も転生者で彼女達と冒険者仲間をしていた…


なるほどわからん。


分かっている事は「楓」という名前は全てにおいて共通しているという事。


それ以上でもそれ以下でもないという事。



「とりあえず起きて!たく…町のすぐそばでよかったわよ…一旦、町に戻って体制を立て直しましょ。ダンジョンに行くのは明日から!いいわね!」



美少女はそういうと手を伸ばしてきた。


あ、起き上がらせてくれるのかな?気の強そうないいぶりだけど優しいのかもしれないな…。


俺は彼女の手をとって



「ありがとう…えーっと…」


「え?なに?まさか…名前まで忘れたの?…はぁ…賢者って聞いて呆れるわよ…私はユイ。ユイ・スチュワート」


「ごめん…ありがとう、ユイ…え?賢者って…」


「わたくしはルイーズでございます。楓様…本当にお忘れなんですか…?」



聞きたいことが聞ききれなかった。

とりあえず綺麗なお嬢さんはルイーズね。おじいちゃん把握した。



「うん…自分の名前以外…ところであの賢者って…」


「一発殴っとく?もしかしたら思い出すかもよ?僕の名前がカイリって事もさ」



ボーイッシュな女の子はカイリか。


一発殴られることはやぶさかではないが

そんな旧型のブラウン管のテレビみたいに映らなかったらとりあえず殴るみたいな迷信を

人間に対して実行しないでほしい。


もうそれはただの暴力だからね。


いや、そんなことより



「あの…賢者ってな…」


「カイリ、楓様がお困りですよ…そんなことより、そんな水に濡れた格好でいたら風邪を引いてしまいます。まずは陸に上がって服を魔法で乾かしませんと」


「あ、はい」



魔法…陸に上がるまでの間考えた。


さっきのユイの賢者という発言、そしてルイーズの魔法という発言…。


これは俺が魔法が使えるって事と賢者なんだからそこそこ魔法に精通してるってことだろう。


よし、やってみよう。こういうのはイメージが大事だともいう。


服を乾かす…火の魔法かな…火が全身を包んで…水分を蒸発させるようなイメージで…

おぉ…なんかちょっと温かくなったかな…?



「楓!!!燃えてる!!燃えてるって!!」



気が付いたら俺は全身火だるまになってた。

魔法って難しい。


この後、みんなにめちゃくちゃ消火され

何故か説教までされた上で町まで連行された。


何処の世も理不尽で溢れてる。



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