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86【マリア2】

「エレナ様、どういうことでしょう」


今の行動にダングルクは戸惑ったように聞いてくる。


「自分の胸に手を当てて聞いてみたらどうですか?」


私は少し殺気を飛ばしながら言う。


「は、はて、何のことでしょう?」


ダングルクは私の殺気にやられながらも何とか答える。


「脹脛」


「!」


私がそう呟くとマリアの身体がビクッと反応した。


「背中に二箇所、右内腿、左肩」


「ど、どういうことでしょう?」


「まだとぼけるつもりですか?

マリアにアザなどがある可能性がある位置ですよ」


「な、何を根拠にそんなことをおっしゃるのですかな?

場合によってはネニュファール家に抗議させてもらいますよ」


ダングルクは一瞬驚いたような表情を作るがすぐさま顔を引き締め次は攻撃を仕掛けてくる。


「私を舐めないでください。

私も剣術を嗜んでいるんです。

マリアの歩き方のおかしさ、たってる時の重心の位置、頭を下げた時の一瞬の筋肉の震え。

それを見ればそのぐらいすぐにわかります。

あなたふざけているのですか?」


「ふ、ふざけてなど!」


「じゃあ、なんだと言うんですか?

自分の娘も大切に出来ない奴が領民を大切に出来るわけないですよね?

もう一度言います。

あなたはふざけているのですか?」


「くっ!

はぁ、わかりました。

全て正直に話します。

ですがお願いがあります」


ダングルクは諦めた表情を作ったあと私に頭を下げる。


「何ですか?

とりあえず聞きましょう」


「娘を、マリアを守ってはくださらないでしょうか!」


「え?」


「え?」


私と後ろで匿われているマリアが同時に素っ頓狂な声を上げる。

マリアは後ろで今まで敵だと思っていたらいきなり味方だよって言われた時みたいな反応をしている。まあ、まさしくその通りなんだけど。


え?

どういうこと?

命だけは助けてください的なことを言われると思ったのに。


「えっと、説明をお願いします」


「はい。

と言うよりもそこのロゼさんはほとんど知っているのではないですか?

先程から驚きもしませんし私が娘を守ってくださいと言った時、一瞬あぁなるほど、という顔をしましたよね?」


「はい。

存じております」


ダングルクは私の後ろに待機しているロゼに話を振る。


知ってんのかい!

私は何も聞いてないよ!


「それではロゼさんが説明してそれを私が補足するという形でどうですか?

その方がエレナ様も納得するでしょう」


「かしこまりました」


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