78【リリのお説教】
「エレナ、人の顔を見て悲鳴を上げるなんてそんな子に育てた覚えはありませんよ」
「申し負けございません!」
私は綺麗なジャンピング土下座を決める。
「あの、お姉様?」
と、リリの声が聞こえる。
恐らくお母様達と一緒に来たのだろうがお母様達への恐怖感が凄すぎて存在に気づけなかった。
姉として妹の存在に気づけないなんてと普段なら落ち込み、後悔するところだが今はそれよりもお母様達に土下座し続ける方が優先だと私は本能的に感じた。
「ほら、立ちなさい。
リリも見てるわよ」
「はい」
私はおずおずと立ち上がる。
「私からも色々言いたいことはあるけど、まずはリリの話を聞いてあげなさい」
「え?
リリの?」
私はそう呟いてリリの方に目を向ける。
リリは今まで私に見せたことがないほど真剣な顔をして小さく頷いた。
「わかりましたか?」
「は、はひぃ!」
私がキョトンとしているとお母様に声をかけられビクッとしてしまう。
「じゃあ、私達はその辺でお茶でも頂いているから何かあったら呼びに来なさい」
「はい」
「わかりました」
そうしてお母様達は私の部屋を出ていき、リリと二人になった。
「とりあえず座りましょうか」
「はい」
相変わらず今日のリリはあまり話してくれない。
「えーと、リリが私に話したいことがあるって事だけど何かな?」
「なぜ?」
「え?」
「なぜ、お姉様はすぐに危ないことに首を突っ込むのですか?」
「そ、そうかな?
そんなことないと思うんだけど?」
「お姉様は、元騎士に襲われたことも今回の暗殺者に襲われ、その子の妹を救うために魔物生息地帯に入っていったのも全部危険なことではなく、その辺に散歩に行く程度の事だったと言うのですね?」
ひぃぃ!
何か今日のリリ怖い!
お母様達が怒った時と同じ感じがする!
やっぱり親子だからかな?血は争えないね〜。
「お姉様!」
「ご、ごめんなさい!
ちゃんと話は聞いてます!」
現実逃避をしてたらまた怒られてしまった。
「アドニス様の元護衛のほうはヴィルデもいたしあんな雑魚に負ける要素がなかったからなんてこと無いよ。
魔物生息地帯に行ったことは、みんなに迷惑をかけて申し訳ないとは思っているけど後悔はしてないよ」
「お姉様がやってきたことの理由も覚悟もロゼやヴィルデから聞いてます。
お姉様の意見も理解は出来ますが納得は出来ません。自分の行動にもっと慎重になってください。
お姉様の生死は多くの人の人生を左右するものなのですからその自覚を持ってください」
「ごめんなさい」
私は大人しくリリに謝ったが心の中で私ごときの生死でそんなに多くの人の人生を左右することなんてないだろうと思っていた。
それを感じとったのかリリの顔がさらに険しくなる。
「ロゼ達はお姉様に雇われているのですよ。
お姉様がいなくなればみんな仕事を失うのです。まあ、ロゼとヴィルデはそれなりの身分や保護者がいるのでどうとでもなりますがエイジ達はそうは行きません。最悪またスラムに出戻りです。商会のこともそうです。今までは公爵家令嬢のお姉様がトップとしてやっていたのでほかの商会からの攻撃はあまりされていませんでしたが、お姉様の後ろ盾が無くなった瞬間にほかの商会は手を組んで潰しにかかるでしょう」
「そうだね。
私がロゼ達を雇っているんだもんね。
でも商会の方は大丈夫じゃない?
私はたまに新商品を提案するだけで特に何もしてないよ?」
「それほどまでにお姉様が発案した商品は魅力的でほかの商会から恨みをかっているんですよ」
「そ、そうなの?」
「そうなんです!
だから気をつけてください!」
「うん、わかったよ。
今後は、慎重に行動するよ」
「わかってくれて何よりです」
「それにしても、リリって頭いいね」
「身体が弱いので勉強しかやることがなかったですし、勉強でならお姉様の助けになれるかと思いまして」
リリは少し照れくさそうにそう呟く。
「リリ、リリー!」
その可愛らしさに私はリリにルパンダイブを決める。
「きゃ!
お姉様苦しい!」
そんな言葉を無視して私はリリに抱きつき頬ずりする。
今日はリリと一緒に寝る!
これは決定事項である!




