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77【般若】

「やばいやばいやばい!

どうしようどうしよう!

ロゼ!どうしよう!」


「身から出た錆です。

大人しく叱られてください」


お父様とアドニス様はフォンセのことを王様に伝えるために王都に戻って行った。

なんか私が生命の木までたどり着けたことも報告するとか言ってフォンセの妹に使った生命の木の葉の残りを持って行ったがそんなことは些細なことだ。


問題はお母様達が私を叱りにこの御屋敷に来ることが先程の話し合いの場で明らかになった。

お母様達は基本的に優しくちょっとやそっとのことでは全然怒らない。怒ったとしても「エレナ、みんなに迷惑かけてはダメよ」と軽く注意されるだけだ。まあ、そのぐらいの注意で私やリリは反省できるのもあると思う。

しかし、ごく稀にお母様達の怒りが噴火することがある。私はまだ経験したことはないが一度お父様がその怒りをかったことがありその場面を目撃したのだ。

一度目は、お父様が仕事上の付き合いと称してエッチなお店に通っていたことがバレた時だ。

何でお父様は超絶美人のお母様達がいるのにそんな店に行こうとしたのか私には全くわからない。

まあ、それは置いとくとして、その時のお母様達の顔が思い出すだけで鳥肌が止まらない。本人に言ったら怒られると思うので絶対に言わないがその顔は般若そのものだった。そして、助けてと涙ながらに私達兄妹や使用人に叫んでいるお父様を寝室に引きずりながら連れていく姿は正しく処刑人だった。その後、寝室から聞こえてくる「助けて!ごめん!本当にごめん!いや、それはダメだって!死ぬ!本当に死ぬって!待って!本当に待って!もうしないから絶対にもうあんなとこに行かないから!まだ死にたくないいぃぃぃやぁああああああああぁぁぁ!」というお父様の声は私達兄妹や使用人にとてつもない恐怖を与えた。次の日朝食に出てきたお父様の顔は腫れまくっており、もう見るに堪えないことになっていた。

そして今日、そのお母様達が標的を私に変えてやってくるのだ。

災厄死ぬ!

比喩でもなんでもなく死ぬ!

魔物生息地帯でも余裕だった私でさえ抵抗も許されずに死ぬ!


「ロゼ!

そんな生易しいものじゃないんだよ!

まじで私死ぬよ!」


「お嬢様。

「まじで」のような雑な言葉は使われないようお願いします」


「そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!

もう、ロゼは私が死んでもいいんだ。

くすん」


涙が私の頬をつたう。


「大丈夫ですよ。

ローゼ様達はエレナ様のことを本気で愛しています。

殺されるようなことは多分ありません」


「今多分って言ったよね!

絶対に言ったよね!」


「いえ、言ってません」


「いや!絶対に言った!」


コンコン!


「はい!」


「お嬢様、奥様方が屋敷に到着されました」


「ひいっ!

終わった!

私の人生終わった!」


「騒いでないで早くお出迎え行かないともっと怒られますよ」


「わかってるよ〜。

わかってるけど〜」


ガチャ!


「え?」


「久しぶりエレナ。

お出迎えしてくれないなんてお母さん悲しいわ」


「エレナ、久しぶり〜」


「き、きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!」


いきなり部屋に入ってきた母親二人に私は驚きと恐怖が混ざった叫び声をあげるのであった。


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