71【位置について、よーい、ドン!】
「ロゼとヴィルデにはお父様からフォンセとフォンセの妹を守って欲しいの。
牢屋に入れるぐらいならいいけど殺したり他のところに連れて行ったりされそうになったら止めて」
「「はい、わかりました」」
「「お嬢様、準備が整いました。
ここでは人が多いので隣の部屋に準備しております」」
ロゼとヴィルデが返事した直後にメイとアノンが部屋に入ってきた。
「うん。
ありがとう。
ヴィルデ、準備が出来たら直ぐに出るから馬の準備とかお願いね」
「はい、かしこまりました」
私はロゼと隣の部屋に行き着替えや荷物をまとめて外に出る。
「エレナ様、準備は出来ております」
「ありがとう。
じゃあ、行こうか」
そう言って私は馬に跨り、ヴィルデと数人の護衛を付けて魔物生息地帯の森に向かう。
「うわぁー。
初めて来たけど禍々しいオーラみたいなのが出てるね」
「そうですね。
質の悪い魔力が集まり空気にまで影響を及ぼしているんですよ」
「よし!
じゃあ行ってくるね」
私は、森に入る三メートルほど手前まで行き振り返って言う。
「はい、エレナ様が戻って来てもいいようにこの辺りに医者などを呼んでおきます」
「うん、お願い」
私は、それからスーハーと2、3回大きく深呼吸をしてから陸上選手がよくするクラウチングスタートのポーズをとる。
それから心の中で「位置について、よーい、ドン!」と唱えたと同時に森の中へと全力で走っていく。
この森には多くの魔物がいて戦っても切りかないこと、フォンセの妹の治療も早く行わないといけないことを考えると最短距離を全力疾走で突破する方法が一番の良策だと思う。なので私は出来るだけ魔物を無視して一直線に生命の木に向かって走る。
私の後ろと両隣りには大量の魔物が私を追ってくる。
魔物たちはみな黒いオーラを纏って大きな爪や牙を持っており口からダラダラとヨダレを垂らしている。
私のことはただの餌としか思ってないのだろう。魔物たちは私の体力が尽き止まったところで一斉に襲おうと思っているのだろうが私はこんな距離でバテるようなヤワな鍛え方はしていない。
「結構、木に近づいて来たね」
今の私の位置はだいたい生命の木まであと二割を切ったところだろう。ここまで近づくと生命の木の大きさや神秘的なオーラに驚いてしまう。
「魔物たちは相変わらず後ろと左右に大量にいるね。てかどんどん増えていっているよね。何か気持ち悪い」
「え?」
「「gru!?」」
私と私の周りにいる魔物の何体かがほぼ同時に声を上げた。
私の探知にとてつもなく大きく強い反応があったのである。
「Grrrrrrraaaaaaaa!!!!!」
その次の瞬間、地震でも起きているのかと思うぐらい地面が揺れる咆哮がし、その咆哮を聞いた魔物達はみな回れ右をして必死で走って逃げていき、私も流石に足を止めてしまう。
「やばいやばいやばいよ〜!
やばいよこれ!?
この亀デカすぎでしょ!?」
それしてその咆哮のあと私の目の前に現れたのは、とてつもなく大きい亀の魔物だ。
どうしたらいい!?
このまま隙を見て突破するか?
でもあの魔物めっちゃこっち見てる〜!
完全に今目があってるって!
これ見逃してくれないやつだよね!
でも亀って鈍いイメージあるから逃げ切れるかな?
でも、亀って首を引っ込める時は凄く早いし実は素早い生き物なのかも!
戦って倒せないことは無いと思うけど絶対に私も無事じゃすまないだろうしその後、生命の木までたどり着くまでに魔物に襲われたらやばいかもしれないし。
「よし!」
一か八か隙を見て突破を試みよう。
そして、そう心が決まったところでちょうど亀の魔物が咆哮を上げるために少し顔が上に上がった。
「Grrrrrrraaaaaaaa!!!」
その隙を見逃さず私は亀の魔物の横を突破するために全速力で走る。
「よし!
いける!」
亀の魔物の横を通り過ぎ大丈夫だと思った直後。
「え?」
亀の魔物の尻尾が驚くほどの速度で私に向かってきた。
「ぐうっ!
ぶはぁ!」
いけるという気の緩みから一瞬反応が遅れてしまい避けることもしっかりとした防御体勢にも入れず吹き飛ばされ近くにあった木に叩きつけられる。
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