61【返り討ち】
今日は長めです
元バカ護衛視点
この元バカ護衛二人は見知らぬ人物の助けをかり牢屋から逃げ出して山に逃げ込んでいた。
「くそっ!
何で俺達がこんなめに合わなければいけないんだ!」
「そうだ!
俺達は侯爵家と伯爵家の人間だぞ!
全部あの小娘のせいだ!」
「これからどうする?」
「相手はネニュファール騎士団だ、それに殿下に逆らったんだから近衛騎士団も出てくる可能性がある。
このまま逃げてても捕まるのは時間の問題だろう」
「捕まったら最後、最悪死刑だ」
「だろうな。
どうする?
大人しく投降しても結果は変わらんだろう」
「こうなったらあの小娘も道づれだ!」
拳を地面に叩きつけながら凄い形相で言う。
「だが、大丈夫か?
相手は公爵令嬢だろ?」
「そんなもん今更だろ!
どの道俺達は死刑なんだ!
このまま大人しく死ぬなんてごめんだ!」
「俺も同じ意見だ。
よし!
殺るか」
「作戦はどうする?」
「とりあえず狙うなら明日しかないな」
「なぜだ?」
「公爵令嬢の行動なんてそう把握出来ることじゃないが、明日はあの小娘が関わっている第二回リバーシ大会の決勝トーナメントだ、ほぼ百パーセント出席するだろう」
「そうだな。
決行は明日にしよう」
「武器は、剣二本と投げナイフ四本か。
これだけあったら十分だろう」
この二人は脱獄の時に一緒に自分の武器もしっかり回収してきていた。
「そうだな。
あの小娘の護衛はあのヴィルデとかいう女一人だ挟み撃ちかどちらかが囮になれば余裕だろ」
「よく考えてみると公爵令嬢が護衛一人っておかしくないか?
あの護衛の女が相当強いってことかな?」
「多少強かろうが俺達が一瞬で倒されることはないのだから、もう一人が小娘を殺すぐらいの時間は稼げるだろう」
「それもそうだな」
「よし、それじゃあ出来るだけ作戦を詰めていこう」
「ああ、絶対にあの小娘だけは道づれにしてやる」
そして二人は明け方まで武器の手入れや街に潜り込むための作戦などを話し合った。
◇◆◇◆
次の日の朝、私は家族やアドニス様と朝食を済ませヴィルデと第二回リバーシ大会のトーナメント会場に向かっていた。
トーナメント開始は昼前ぐらいなのだが私は運営に関わっているため前準備や詳細の確認などをしなければいけない。
「私って今日は解説もやらないといけないのよね?
トーナメント出場者は全員私より強いのに何を解説したらいいんだろう?」
「多分ですがエレナ様に解説らしい解説なんて誰も望んでいないですよ。
ニコニコしてもう一人の解説者の人の話に合わして観客を煽ったりしていればいいと思いますよ」
「ふぅ〜ん、そういうもんなんだ。
それぐらいだったら私にも出来るかな?」
「ええ、大丈夫ですよ。
何かあったら皆が助けてくれますよ」
その時、何者かに狙われている気配を感じた。
微かにだが殺気や視線が感じられ、狙いは私だと断言出来る。
「ヴィルデ」
「はい」
ヴィルデを呼ぶと、ヴィルデも私と同じく視線に気づいたらしく厳しい表情になっていた。
「恐らくは昨日のバカ護衛達でしょう。
昨日の夜に牢屋から抜け出したと報告を受けております。
いくら馬鹿だからといって公爵令嬢のエレナ様を狙うなんて無謀なことはしないだろうと思っていましたが、どうやら私の想像を超えるほどの馬鹿さぐあいだったようですね。
どうしますか?
こちらからしかけますか?」
え?
あの馬鹿達昨日の夜に脱獄してたの?
私初耳なんだけど。
「視線はまだ遠いし二つ別々の所から感じるから一人を追ったらもう一人に逃げられる可能性があるわね。
とりあえず向こうが仕掛けてくるまで待とう」
「はい」
それから五分ぐらいがたった。
「そろそろ仕掛けてきそうですね」
「そうだね。
ヴィルデは初めに仕掛けてきた方をやって。
私は、二人目をやるよ」
「了解しました。
エレナ様の実力はわかっていますが、一応気をつけてください」
「うん。
ヴィルデも気をつけてね」
ビュン!
話しが終わったとたん風の切る音とともに一本のナイフが飛んできた。
風の魔法を使っているのかなかなか速い速度で正確に私の頭目がけて飛んでくる。
カキン!
「行きます」
飛んできたナイフをヴィルデが剣を抜き弾きそのまま逃げ出した馬鹿を追いかけて行った。
「ふっ、護衛は行ったな!
死ねぇ!」
ヴィルデが二百メートルほど離れた途端物陰からもう一人の馬鹿が私に向かって斬りかかってきた。
キーン!
私はスカートの中に隠していたナイフを取り出して馬鹿の剣を弾き飛ばした。
「なに!?」
「もうお前寝とけよ」
おお!
久しぶりにこんな乱暴なセリフを言ったな!
ちょっとテンションあがるな!
私は馬鹿の腹に思いっきり回し蹴りを叩き込んだ。
「ぐはっ!」
馬鹿はお腹を押さえて倒れ込んだ。
「おい!
道を開けろ!」
そこに野次馬を掻き分けて騎士団の人が駆けつけた。
「あとのことは任せますよ」
「は!
お任せ下さい。
おい!
お前らしっかり縄で縛れ」
「エレナ様、私の方も騎士団に任せてきました」
「そう。
じゃあ、会場に向かおうか」
私達は会場に向かって歩き出した。
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