犬と狼編 8th-contact
8th-contact
試練
しとしとと雨の降りしきる5月。
僕達は、まず最初の試練に直面した。
「なあ、篠田」
「何、海堂くん?」
「定期考査って、何?」
何って、そりゃあ
「これまで勉強した分の、総復習みたいなものかな」
「なんでそんなに呑気なんだよ!」
激昂しないで欲しいんだけど!
「だって、いつもそんなに悪い点数取らないし……」
途端にガバッと飛び起きる。
「お?なんだよお前自慢かよ!真剣にこの問題に向き合ってる俺の努力は無駄ってか?!」
「努力するのはいいと思うよ。僕もこの時期頑張ったりするし」
そしてまた机に突っ伏してしまった。
「あーあ。いいよなぁ、お前は呑気で。顔もいいし、運動はできるし、頭良いし」
「人並みに出来るだけだよ」
正直いって、僕には運動や勉強の基準は分からない。
いつも最低70点は取ったりするし、運動もそんなに秀でてはいないと思う。
「何話してるの?」
定期考査の話中に、小堀さんがやってきた。
「小堀さん、定期考査の事をね」
「そう言えば、模擬試験の時とか、りっくんいつも5位以内だったね」
「ご、5位以内だって!」
「あはは、昔のことだけどね」
なにか恐ろしいものを見るような目でこっちを見てくる。
「お前は人間じゃねぇ」
「なにそれ酷い!」
✲✲✲
梅雨の時期は嫌いだけど、こうやって賑やかに話せるのは好きだ。
特に、りっくんとなら。
「あ、そうだりっくん」
「どうしたの?」
「定期考査が終わったら、一緒にお出かけしない?」
2日くらい前から言おうと思って言えなかった、デートに誘ってみた。
「……実は、僕も、誘おうと思ってて。なかなか言い出せないままになっちゃって」
「そうだったんだ」
じゃあ答えは
「休みの日にでも、一緒に行こうか」
いつの間にか、手が熱かった。
握られていることに気づいて、私は返事するようにその手を握り返した。




