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枕元には懐中電灯を

作者: 天地 万世

数年後にお会いしよう、と言ったな


あれは嘘だ

 二度ある事は三度ある―――


 誰が言ったのかは知らないが、全く言い得て妙である



 先日、2018年6月18日に発生した大阪北部での地震の揺れを味わった

 幸い筆者は震源地から離れた処に居合わせており、揺れ具合は震度4程度だった

 故に被害らしい被害といえばTシャツにパンツのみといった格好で危うく外に飛び出すところだった、といった程度だ


 この頃地震が多い。私の記憶にあるのは阪神・淡路辺りからであろうか

 そのうち大きな揺れを味わったのは今回で三度目だ。福岡西方沖、東北地方太平洋沖、今回の大阪北部


――――――――――――――――――――――――――


 福岡では真昼の出来事だった。人が寝ているというのにやたら揺さぶられるので、何の悪戯かと目を覚ましたが誰もいなかった。人の仕業ではない


 これは地震である。目覚めてからそう気付くのに大した時間はかからなかった

 最悪の場合、部屋の戸口が傾いて開かなくなり逃げ道を塞がれる。そう判断した私は最も手近なベランダに出て家の倒壊に備えた


 こう倒れたらここに跳ぶ。そんな事を考えていると周囲の景色が目に入った。目を奪われたと言うべきだろうか


 ガラガラと音を立てて近所の瓦が崩れ落ち、台風の時も直立姿勢を崩さない電柱が柳のように揺れている。なぜ電線は切れてしまわないのだろう。緊急事態にも関わらず悠長なことを考えてしまった


 揺れのピークを過ぎた。収まり始めている。そう感じた時に急に不安を感じた。一階にいる両親は無事だろうか


 あの親に限って何かある訳がない。そう思いつつも階段を駆け下りてリビングに向かう


 音を立ててリビングの戸を開け、中の人影を探す。テーブルに父が座っていた。ラーメンの丼を左手に持ち、右手で麺を口に運んでいる所であった。そのままズルズルと麺を掻き込んでゆく


 後に聞いたところ、父は揺れている間も丼を揺れに合わせて前後に傾け、汁を一滴も零すこと無くラーメンに専念していたとの事である。ラーメンなんか置いといて避難してほしいものだ


――――――――――――――――――――――――――


 東北を味わったのは関東で勤務していた時だ。職場がビルの四階だったせいか、地上よりも揺れたように思われる


 金曜日だっただろうか。電車の悉くは運行を停止し、止むなく部屋までは歩いて帰った。足は痛んだが、帰る足を奪われて留まる人々の群れを見るにつけ、心が痛んだ。私よりも苦労している


 想像を絶する被害と苦痛があった事を知ったのは、それからしばらく経ってからのことである


 運行が再開された後、スシ詰めになった電車の中で嗚咽を堪えている女性がいた。何があったかは想像するに難くない


――――――――――――――――――――――――――


 私自身は幸いにして、夜中に地震からの停電、といった事態を味わった経験が無い。だがこれを読む皆さんにも一度想像して頂きたい。貴方が日々目にする夜の灯りは、電気があってこそのものなのだ


 地震で送電線が千切れてしまえば辺りは真っ暗闇である。まだ揺れている最中、財布や携帯、持つべきものを持って直ちに外へ避難できるだろうか。外へ出た後はどうだろうか。愛する家族は


 私の思うに日本は今、地震活動期の真っ只中にある。いつどこが揺れてもおかしくない


 他人事だと思わずに聞いて頂きたい。枕元には懐中電灯を置くべきである


 昨今のLEDを用いた代物は軽小にして眩い。さして邪魔にはならないであろう。値段も安い。ハボリム師匠なら問題ないが、普通の人間たる我々は目が見えなければ歩くことすらままならない生き物だ



 貴方にも、貴方の家族にも、生きていて欲しい

ホームセンターで数百円

それが貴方の人生を守るかも知れません


スマホのライトは使わないでください

そいつのバッテリーは情報を得る為のものです


500mlのペットボトルで水を3本、すぐ掴んで持ち出せる袋に入れておいてください

3本で1人分です。ご家族がいる方は、その数をご用意ください


いずれ、私は力を持つようになります

その暁には、災害発生時には、我が全霊を以って救いに参ります


待っていてください

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