進む展開
『不思議の国のアリス』けれどそれは、あくまで一般的に知られている物語。しかし、著者ルイスの描くアリスの世界の中には『地下の国』が広がっている。
『地下』こそが、アリスの本来の姿。そもそもアリスは白ウサギの穴に落ちていくのだから、地下と銘打っても何ら間違いではないのだ。しかし、当時の状況により『不思議』と変更されたのである。その変更が果たして良かったのかどうかは、当時を生きた著者ルイスにしか分からない。
……話を戻そう。母アリスが落ち、広がる世界は地下の国であり不思議の国。しかし、地下と不思議の二つには決定的に違う点がある。話の根本は同じ作品。しかしその中には、明らかに登場人物が欠けているのである。地下にはそもそも『御茶会』や『笑うチェシャ猫』は登場しない。これは地下を書き直し、不思議の方で付け足された人物なのである。それならばこの話は地下では無く不思議なのであろうか。けれど、不思議という場でありながら”わたし”は存在しない場に赴き招かれている。アリスが御茶会に来なければ、それこそ地下の国になる。そう思えば『おかしな御茶会』がさらにおかしく見える。
しかし、ここで忘れていけない作品がある。そう、続編にあたる『鏡の国』である。けれど鏡の国は物語の始まり事態が違うので関係無いようにも見える。しかし忘れてはならない。不思議と鏡は紙一重の世界なのである。ならばこの世界はどうなるのであろうか。冷静なアリスが見せる世界。それが地下となるのか不思議となるのか、はたまた鏡となり波乱を見せるのか。
さあ、アリス見せて。そう思い見つめている時、茶会の雰囲気がガラリと変ったことに気づき、わたしは顔を上げた。しかし、それ事態が間違いであった事に気がついたのは、目と目が合い笑った男を見た瞬間であった。
嫌な予感がする。母の事など気にしなければ良かった。そう心で愚痴を零すも、やはり物語が好きな性分。致し方ないと自分を許す中、男が笑顔で耳を疑う様な言葉を吐いた。
「俺、帽子屋は”チェシャ猫”と結婚する」
うん。とりあえず、このふざけたことを抜かす男をどう調理してやろうか? わたしの脳裏にはそれしか残されてなかった。




