閑話Ⅱ
クスクスと小馬鹿にしたような笑いが木霊する室内。スモッグが焚かれた室内は見通しがすこぶる悪かった。けれど、目の先に黒い塊があることを知り、そして黒い塊も誰かがやってきた事を知ると、それはそれは大きな声を上げた。
「おや、これはお早いお帰りだ!!」
出てきたのは道化師のような風貌の少年。派手なメイクの為に表情がいまいち分からない。少年は不気味な笑みを見ながら揺ら揺らと踊りだす。
「どうでしたか、”最初の劇”は!
久方振りでしたので、どうも勝手が分からなくなってしまいました!!」
そう言い少年は自分の頭をバシバシと叩く。
「ああ、申し訳ない!
決して怒らないで下さい!!
これは古来の術であり、人を楽しませるのが私の楽しみなのです」
少年はそう言いクルクル踊り、何処からともなく取り出した道具を出し技を見せた。
「ですが、そうですね。
お客様のご要望には副っていなかったご様子。
ああ、勿論ですがキャストたちの記憶は私の力でお忘れになっておりますので御安心を!
配慮を欠かさない道化師が売りでしてね」
ニコニコと笑い再び台の上に乗り上げる少年。そしてその手には小さな赤い球体が握りしめられていた。
「最初は様子見でしたが次からは違います。
さあ、お客様!
ルーレットを回して下さい!!」
そう言い少年は手に持った赤玉をポーンと宙に投げ消えてしまった。赤玉は上にあがった物の、次第に力を失い、やがて重力に従い下へと落ち始めた。そして上手い具合にルーレットが開始される。カラカラ。音のなるルーレット。走る赤玉。そして走りつかれた赤玉が向かった先は一つの箱の中だった。
描かれるは『紅茶』それが意味する物語など、ルーレットを見つめていた者には分からない。




